toddler’s diary

以前は研究にあまり関係ない雑談・2023年4月から本を通じた自分の振り返りやってます

2023-01-01から1年間の記事一覧

Martin H. Weissman「図解する整数論」丸善出版 2022

数論というのは数学の王様という感じで、フェルマーの大定理とか一般の人にもなじみがありながらその頂上は果てしなく高いという学問です。大阪大学に連携大学院で行った際に数学科の先生方とお話しする機会があって、それまで知らなかった数学者のいろいろ…

宮島 静雄「ソボレフ空間の基礎と応用」共立出版 2006

カーネル本では正則化を入れることでリプレゼンタ定理などきれいな理論が成り立ちますが、正則化が微分作用素のとき(スプラインなど)はちょっと面倒なことになり、カーネル本では微妙にごまかしています。 その辺を調べていくうちに出会ったのがソボレフ空…

Le on Bottou, Olivier Chapelle, Dennis DeCoste, Jason Weston (eds) "Large-scale kernel machines" MIT Press 2007

カーネル本で書けなかった内容でもっとも重要なものは、計算量を減らすためのいろいろなアルゴリズムです。これは伊庭さんからもよく指摘されています。まあこの辺は福水さんの本とか持橋さん・大羽さんのガウス過程回帰に詳しく書かれているのであえて私の…

島 正子「隕石 宇宙からの贈り物」東京化学同人 1998

スパースモデリングでつきあいが続いているのは主に桑谷さんたちの地質関係ですが、プロジェクトが走っている当時は惑星班ともつながりがありました。代表の宮本先生ははやぶさプロジェクトなどにも関わられていて、アウトリーチ活動も数知れず、領域会議や…

福田拓生,泉屋周一,石川剛郎(編)「特異点の数理 1~4」共立出版 2001

本棚でかなりのスペースを取っていたこの本をようやくとりあげます.ほとんど読んではいませんが,経年劣化で背表紙が日焼けっぽくなっているのが積読の長さを物語っています.この4冊のシリーズは,渡辺さんが特異モデル関係でばんばん論文を出し始めたこ…

T.ポストン,I.スチュワート 「カタストロフィー理論とその応用/理論編」サイエンス社1980

修士ではニューラルネットの研究で,統計物理が驚異的にいろんな結果を出すのを眺めている感じでした.その強力な解析ツールと物理学者ならではの押し出しの強さに圧倒されてもいました. そんな中,修士の研究に注目してもらえて,京大の基礎物理学研究所(…

青木 正直「数理計画法II 非線型計画」共立出版 1972

電総研に入った頃は,数理計画はほとんど線形計画法か,バックプロパゲーションで使われていた最急降下法のことしか知りませんでした.この本は情報数理の壁一面の研究室書棚に収められていたもので,今までも紹介したことのある共立出版の膨大なシリーズで…

清水 良一「中心極限定理」教育出版 1976

統計や機械学習など多くの理論的研究において、中心極限定理に代表される concentration inequality は強力なツールとして今も昔も使われています。とりわけ中心極限定理は、よくわからない分布でも足し合わせることで正規分布に従うということで、正規分布…

B.W. Silverman "Density estimation for statistics and data analysis" Chapman & Hall 1986

電総研に入った 1990 年代は、個人的には分布推定が中心の研究をしていました。当初勉強していた統計多変量解析の話がガウス分布ぱっかりだったので、この本にあるようなノンパラの話や混合分布の話がなんとなくよさそうに思えたというのがあります。 実際に…

臼井支朗「脳・神経システムの数理モデル 視覚系を中心に」共立出版 1997

脳というのは人間の知性の根幹でもあるので,人の興味を引く格好の題材だと思います.しかし,それゆえに,怪しげなものを引き寄せる力もあり,いろいろな話を聞く際は眉に唾をつけて聞く必要があります. 一方で,生理学から化学,心理学,情報科学とたくさ…

P. J. Bickel, C.A.J. Klaassen, Y. Ritov, J.A.Wellner "Efficient and Adaptive Estimation for Semiparametic Models" Springer 1993

セミパラメトリックは以前にも書いたように、甘利先生川鍋さんを中心として一時期かなり盛り上がった話題で、金谷先生も巻き込んでいまいち本質がわからないことになっていました。単純に言ってしまえば、x から y への回帰で、x にもノイズがのると途端に難…

J.R.Magnus, H.Neudecker "Matrix Differential Calculus with applications in statistics and econometrics" revised edition, Wiley 1998

研究室の本棚もやっと空間が目立つようになってきて、先が見えてきたなという状況です。本を買うときは最後にその本をどう処分するかなんて考えずに買ってしまうわけですが、ちゃんとその辺を見通して買わないといけないですね。一方で、出版業界の苦境を考…

G.プロム,L.ホルスト,D.サンデル「確率論へようこそ」シュプリンガーフェアラーク東京 1995

この本は身近な例題で確率を解説している本なので、最初買った時は一般向けの本かと思っていたのですが、割とちゃんとした確率論の入門の本でした。高校の時は、確率はほとんど順列組み合わせ計算の学問だったので、たいてい数え間違えていました。 この本も…

M.Lutz 「初めての Python 第3版」オライリージャパン 2009

python を私の周りで最初に始めたのは神嶌さんでした。公平性の数値実験とかをやっていて、jupyter notebook とかで情報共有してくれようとしていましたが、私の python 力が全然なかったので、その方面での貢献は全然できませんでした。 とりあえず一番最初…

G. McLachlan, D. Peel "Finite Mixture Models" Wiley 2000

この本が出たころちょうどD論真っ只中という感じでした。D論の経緯についてはいろいろなところで別に詳しく書きましたが、受け身な人生の自分としては珍しく自分から動いた数少ない事例の一つかなと思います。それも、いろいろな人からD論どうするのかという…

D. Dougherty 「sed&awkプログラミング」ASCII 1991

統計計算などは R を使っていましたが、ファイルが絡む処理だとたいていシェルスクリプトでこなしていました。最近もファイル名の一斉置換とかはシェルスクリプトだったり直接シェルコマンド入力でやってしまうのが便利です。 電総研でポストマスタをしてい…

汪 金芳, 田栗 正章, 手塚 集, 樺島 祥介, 上田 修功「計算統計I」岩波書店 2003

ブートストラップについての理解もずっと浅くて,バイアス補正の話とかは比較的最近になって,村田研の学生さんの研究を通じて,村田さんや日野さんから教えてもらったり勉強しました.この本でもブートストラップにまつわるいろいろな話が書いてありますが…

三上 章允「視覚の進化と脳」朝倉書店 1993

朝倉書店の黄色表紙の脳関係のシリーズはとりあえずそろえておくという感じで買った本で、この視覚の進化に関する本は研究との関連性はほとんどありません。 人間は視覚と言語の能力が極めて発達していますが、視覚が優位な人と言語が優位な人に分かれていて…

J.L.ジョンズ,A.M.フリン「移動ロボット」トッパン 1996

この本はRWCが始まって,事情通ロボットとかのプロジェクトの初期の頃に買った本だと思います.何度も書いているように手先が不器用なので,工作系のものとかハードウェア系はすべて苦手です.とはいえ,今この本を見てみると,基本的なところから試行錯誤を…

北 研二, 辻井 潤一「確率的言語モデル」東大出版会 1999

電総研に入ったころはまだ自然言語処理は生成文法などガチガチの論理学の色合いが強く、構文解析をしたりする研究が幅を占めている印象でした。あくまで部外者の観察的な印象なのであてにはなりませんが、そのうち確率文脈自由文法とか出てきて、次第に確率…

M.G.ケンドール「多変量解析の基礎」サイエンス社 1972

この本をいつ買ったのか覚えていませんが,たぶん修士の時だったと思います.当然ながら Kendall の名前も知らなかったと思いますが,この古典的な教科書をなぜ選んだかもよくわかりません.ただ,洋書が原著の割に薄くて,内容段落ごとに番号がついているこ…

田村一郎 「トポロジー」 岩波書店1972

位相幾何学が、マグカップとドーナッツを同じにみなすというような一般的な知識はもっていましたが、実際にそれをどう数学的な道具立てを使うかというのは、全く知りませんでした。 ちゃんとした講義としては、甘利先生の位相数理工学の講義でしたが、以前に…

三村征雄(編)「大学演習 微分積分学」 裳華房 1955

勉強することは子供の頃から好きではあるのですが、根気がないので受験勉強も何時間もぶっ通しで勉強するようなタイプではありませんでした。そもそも各科目でどういう勉強するのがいいかとかわからず、結構試行錯誤していました。夜遅くまで勉強しなくちゃ…

A. Doucet, N. de Freitas, N. Gordon (eds.) "Sequential Monte Carlo in Practice" Springer 2001

2000年代の初めころパーティクルフィルタという言葉を結構聞くようになりましたが、それをちゃんと知るようになったのは、たぶん統数研で開かれたセミナーで Doucet 先生の講演を聞いたときだと思います。そのときの発表はSequential Monte Carlo と MCMC を…

竹内啓,広津千尋,公文雅之,甘利俊一 「統計学の基礎II」岩波書店 2003

公文さんは私が学部生の頃甘利研(当時数理第1講座)の助手をされていて,数理の演習とかで講義を受けた記憶がかすかにあります.割とはっきりとした物言いをされる方で,統計学で最後に残された問題はこれだというような感じでお話をされたと思います.何…

間瀬茂 「R プログラミングマニュアル」2007 数理工学社

数理システムから S 言語を商品化した Splus というソフトウェアライセンスを買って、主に SunOS の上で計算をしていました。確かこの手のソフトウェアはたいてい磁気テープメディアで提供されていた気がします。 そのうちにフリーで使える R という言語があ…

L.Lamport ”LaTeX: A Document Preparation System” Addison-Wesley 1986

電総研に入ると、論文作成は基本的に LaTeX で書くことになりますが、前にも書いたように卒論修論は基本手書きで参考文献だけ plain TeX で書くという情弱ぶりだったので、LaTeX のことはよく知りませんでした。この本以外に参考となる本もなかったので、最…

鈴木良次「生物情報システム論」朝倉書店 1991

鈴木良次先生は,私の学生時代は計測の先生で直接講義を受ける機会はありませんでしたが,電総研に入って科振費で栗田さん・田中さんなんかと脳の高次機能のプロジェクトに入らせていただいたときに,少しお話する機会があったと思います(以前吉澤先生につ…

吉井四郎「バスケットボール」旺文社 1976

以前にも書きましたが中学の時はバスケ部に入りました。小学校の時野球部で挫折したので、大きいボールならもう少しなんとかなるとか考えたのかもしれません。ただ、バスケは背が高い方が有利というのを軽視していたのが結構致命的でした。 子供の頃から背が…

D.A.Fraser「半導体素子の物理」丸善 1985

ちょうど学部から修士の頃、高温超電導がブームとなり、その火付け役でもある物理工学科の田中昭二先生と、同じく物理工学科の伊藤良一先生が翻訳された本です。 両先生とも講義を受けたようなかすかな記憶はあるのですが、何の講義だったのかは全く覚えてい…