toddler’s diary

以前は研究にあまり関係ない雑談・2023年4月から本を通じた自分の振り返りやってます

2024-02-01から1ヶ月間の記事一覧

森藤正人「量子波のダイナミクス ーファインマン形式による量子力学ー」吉岡書店 2005

この本は経路積分について知りたくて買った本です.機械学習のダイナミクスの解析でも時々経路積分を使った方法が出てくるので基礎的なことは知っておく必要があります.この教科書はかなりわかりやすく書かれているとはいえ,物理に寄りすぎていていまいち…

韓 太舜「情報理論における情報スペクトル的方法」培風館 1998

情報理論において画期的な進展があり,それが本で勉強できるということで評判になっていた本書を買ってみました.ただ,表面的に情報理論を知っているだけの自分のような人間にはぱらぱらと読んだだけではどこがすごいのかいまいちわかっていません. ただ,…

P.R.ローンズ, W.W.クーリー 「計算機実験をとりいれた初等統計」サイエンス社 1971

この本の入手経路は忘れてしまったのですが,個人的にお世話になった訳者の伏見先生ご自身が所持されていたものが私のところに回ってきた可能性が高いです.古い本で,中の紙も劣化が進んで特に周辺部の日焼けがすごいです. 計算機実験は FORTRAN がベース…

Bernhard Schölkopf, Koji Tsuda and Jean-Philippe Vert "Kernel methods in comnputational biology" MIT Press 2004

今はすっかり深層学習に取って代わられた感がありますが、この本が出たころはバイオインフォマティクスもカーネル法が全盛でした。津田さんとJP Vert さんたちが編集したこの本はある意味その集大成だったのかもしれません。 井手さんがカーネル本の書評で「…

高橋昌一郎 (監修)「絵でわかる パラドックス大百科」ニュートンプレス 2019

論文になるような研究というのは多少なりとも直感に反するパラドックスのような現象を発見してそれを説明したり解決したりという側面がある気がします。まあ極あたりまえというようなことをちゃんと実験計画を立てて立証するということも重要な研究だと思い…

Emanuel Parzen, Kunio Tanabe, Genshiro Kitagawa (eds) "Selected Papers of Hirotugu Akaike", Springer 1998

甘利研にいた時代には赤池先生の仕事についてはあまりよく知りませんでしたし、甘利先生自身の赤池先生に対する評価もそれほどすごいという感じではなかった気がします。ただしその後統数研の方々とつきあっていくと、赤池先生はすごい人だったというような…

永田 靖「サンプルサイズの決め方」朝倉書店 2003

機械学習や統計の話をしたり、共同研究なんかでよく出てくる質問の一つがサンプルサイズをどれくらいとればよいかということで、この本を買ってみました。 実際問題に対してこの質問に明確に答えるのは極めて難しいと思います。ディープラーニングだともはや…

菊地文雄,岡部政之「有限要素システム入門」日科技連 1986

有限要素法の原理を計数の専門の最初の方で勉強した記憶はかすかにあるのですが,何の授業のどの先生だったか全く覚えていません.ともかくこうして教科書も持っているわけですが,たいして読んだ形跡もありません.有限要素法はかなり高度ですが,微分や積…

Evarist Gine, Richard Nickl "Mathematical Foundations of Infinite-Dimensional Statistical Models" Cambridge University Press 2016

この本はかなり以前に鈴木大慈さんがツイッターとかで言及されているのを見て思わず買った本です。まあ想像通り中身も外見もハードな本で、高齢研究者が一人で読む類の本ではありませんでした。 現在私は鈴木さんの理研のラボの客員にさせてもらっていますが…

間瀬 茂, 武田 純「空間データモデリング: 空間統計学の応用」共立出版 2001

データ解析の主な対象である実数値ベクトルというのはそもそも空間データですし、画像も高次元の空間データと言えると思います。それゆえ、空間データモデリングという 2Dからせいぜい 4D くらいまでのデータ分析をするという感覚がいまいちわかっていません…

武田 圭史「Java使いへの道」ソフトバンク 1996

オランダに滞在していた前後に world wide web という言葉を聞くようになり,インターネットに革命が起きるというような雰囲気でした.ただそのころはまだ電総研がネットニュースを電話回線(uucp)で筑波大と通信しあうみたいな時代で,ネットのキャパがどう…

F. Chollet「PythonとKerasによるディープラーニング」マイナビ出版 2018

今の深層学習は Pytorch とか tensoflow とかのフレームワークをベースに python でプログラムを書くというのがほぼすべてだと思いますが、当然昔は自分でバックプロパゲーション込みでCで書くというのが当たり前でした。 私の場合、ディープラーニングブー…

P. A. Absil, R. Mahony, R. Sepulchre "Optimization Algorithms on Matrix Manifolds" Princeton University Press 2007

ICA がらみでグラスマンとかシュティーフェルとかフラッグとかの行列多様体上の最適化問題の研究をしていた時期があります。接空間上の勾配法だと基本的には制約付き最適化とかなのでラグランジュの未定乗数法の計算とかで私のような素人でもちょっとは計算…

宮川雅巳「グラフィカルモデリング」朝倉書店 1997

これは統計学の観点から書かれたグラフィカルモデルの本です。線形・ガウスをベースにいろいろ組み立てて、そこで厳密な理論体系を作るというのが統計学の伝統的なアプローチです。一方で、機械学習は線形・ガウスからはみ出したところで仕事をすることが多…

矢野健太郎「接続の幾何学」森北出版 2004

この本はチェコで甘利先生80歳記念の情報幾何学の会議に参加したときに、帰りにプラハのレストランで松添さんに教えていただいた本だったと思います。この本はもともと1947年に書かれた本で、昔の本は確かにわかりやすいですが、やはり現代流の微分幾何の…

青木 利夫,高橋 渉「集合・位相空間要論」培風館 1979

高校時代には大学に行くと数学が全く違うものになると脅されていましたが、私の感覚では教養の範囲ではそれほど違うという感覚はありませんでした。εδ論法とかもそれほど突飛な話には聞こえませんでした。ちゃんと勉強すると大変とはいえ、実数とかは体の中…

P. McCullagh, John A. Nelder "Generalized Linear Models" Chapman & Hall 1989

以前にも一般化線形モデルについて書きましたが、一般化線形モデルというのは定義がややわかりにくいし、わかってもあまりすっきりとはしません。Bregman ダイバージェンスのようにもうちょっと広い概念を含んでいてもいいと思うのですが、確率分布とリンク…

加藤義夫、三宅正武「微分方程式演習」サイエンス社 1985

大学のころ微分方程式の問題集として買った本です。改定されていまだに売られているということは結構よい本なのでしょう。前にも書いた通り、線形微分方程式以外は研究上ではほとんど触れ合う機会がありませんが、それ以外にも解ける微分方程式があるという…

F.P. Preparata, M.I. Shamos "Computational Geometry: An Introduction" Springer 1985

以前取り上げた Combinatorial Geometry の Edelsbrunner が Computational Geometry の大家だと思いますが、これは同じシリーズのこの本は情報数理の本棚にあったものを手元に置いておいたものだと思います。 以前も書いたと思いますが、離散数学はパズルを…

Jong Chul Ye "Geometry of Deep Learning: A Signal Processing Perspective" Springer 2022

Geometry と deep learning というキーワードで検索して買った本だと思います。それほど期待していた内容が書かれていたわけではないですが、deep learning の教科書として洋書にありがちな暴力的なサイズ感でもなく比較的コンパクトでわかりやすく書かれて…

P. Murrell 「Rグラフィックス」共立出版 2009

R勉強会なんかが活発だったころは、みなさんがすごくきれいなグラフィックをプレゼンで使われていてうらやましかった思いがあります。この本を買って少しグラフィックの技術を勉強しようとしたものの、結局あまり身につかなかったように思います。 ggplot2 …

伊理正夫「一般線形代数」岩波書店 2003

線形代数の教科書は本屋に行けば無数にあり、どうしてこんなにあるのかと思ってしまうほどです。それぞれ全然違うことが書いてあるかといえばそんなことはなく、だいたい書かれている内容も似たり寄ったりです。伊理先生のこの本は、それらとは一線を画す個…

W. T. Vetterling, B. P. Flannery, S. A. Teukolsky, W. H. Press "Numerical Recipes in C : the Art of Scientific Computing" Cambridge University Press 1992

Sを使い始めるまでは、逆行列とか固有値とかのプログラムは自分で書いていました。いまではちょっと考えられないようですが、LU 分解の pivotting とか知らなければ一生知らないようなテクニックも必要でした。 そんな中 Numerical Recipe という本が出て、…

江渡浩一郎「パターン、Wiki、XP 時を超えた創造の法則」技術評論社 2009

なんとなく Amazon とかでお勧めされるままよくわからず買ってしまった本です.この著者の人はなんと産総研の職員らしいです.しかもメディアアーティストという謎の肩書もついています.私とは分野が違い過ぎて全く接点がありませんが,産総研もこういう謎…

鯉江英隆,西本卓也,馬場肇「バージョン管理システム(CVS)の導入と活用」ソフトバンク 2000

今はバージョン管理は git で行うのが主流だと思いますが、以前は CVS を使っていました。使うようになったきっかけは津田さんで、いっしょに論文を書くことになって CVS を教えてもらいました。ただ、実際共著論文をバージョンコントロールで書いたのは津田…

小山昭雄,森田道也「オペレーションズリサーチ」培風館 1980

歴史はあるけど弱小な学会というのがあって、OR学会もその一つだと思います。計数の先生方はOR学会に関連する方が多かった印象です。ORという分野はちょっと知らないと何の分野なのかよくわかりません。電総研に入った時は大津さんとかが行動計量学会という…

大津由紀夫(編)「ことばからみた心 生成文法と認知科学」東大出版会 1987

電総研の情報科学部には,私のいた情報数理,中島さん・仁木さんとかがいた認知科学,山根さん・設楽さんがいた脳機能の3研究室がありました.分野的には情報数理と認知科学は近いはずですが,なんとなく捉えどころがないような感じがしていました.仁木さん…

徳永拓之「日本語入力を支える技術」技術評論社 2012

本棚がわりとスカスカになってきたなと思って,しばらく空けていなかった棚を開けたらまた山のように本が出てきました.四半世紀も同じ居室にいると忘れ去られた持ち物というのがたくさんあるものです. この本は言語関係の本を買っている段階で買ったもので…