論文になるような研究というのは多少なりとも直感に反するパラドックスのような現象を発見してそれを説明したり解決したりという側面がある気がします。まあ極あたりまえというようなことをちゃんと実験計画を立てて立証するということも重要な研究だと思いますが、研究者魂をゆさぶられるのはやはり意外性や物珍しさといったものではないでしょうか。
この本は有名なパラドックスを集めた絵本みたいな本で、その後改訂版も出ているということは結構世の中に受けたのだと思います。
ただし、重度のパラドックス病にかかってしまうと、意外性のないものを無価値と思うようになりがちで、最初に書いたようなしっかりと当たり前のことを示すというような王道研究をやらなくなってしまいます。
ちょっと違いますが、機械学習でも深層学習でやるより線形回帰でやる方が性能が高いとか往々にして起きるのに、論文にしたり研究成果報告みたいな見栄えを気にして深層学習にこだわってしまうというのは本末転倒だと思います。
それに、パラドックスのようなものがそんなにほいほいと見つかるわけもなく、研究者のメンタル的にもそういうのは研究人生で1個でも発見できればラッキーくらいの気持ちでいないとつらいと思います。というようなことを研究生活を終わるくらいにやっと理解してきました。