toddler’s diary

以前は研究にあまり関係ない雑談・2023年4月から本を通じた自分の振り返りやってます

M.I.Jordan, T.J.Sejnowski "Graphical Models: Foundations of Neural Computation" MIT Press 2001

この本は Neural computation に掲載された論文からの selected paper で作られた本で、Jacobs & Jordan の mixture of experts とか、Attias の independent factor analysis, Gharamani とかの Variational Bayes など、機械学習の歴史の中で重要な論文が…

岡田憲夫,キース.W. ハイブル,ニル.M. フレーザー,福島雅夫 「コンフリクトの数理 メタゲーム理論とその拡張」現代数学社 1988

昨年の同じ日付に本の整理のためのブログを開始してちょうど1年が経ちました.ほとんど欠かすことなく続けてきましたが,書き始めた当初はこんなにつづくとは思ってもいませんでした.読んでいただいている方も少ないとは思いますが,なんとなく遺言みたいな…

高木隆司「形の数理」朝倉書店 1992

電総研に入ってそれほど経っていないこの本を買ったと思いますが,自己組織化とかで形の形成のメカニズムに興味があったのだと思います.この本を見返すと,形の形成メカニズムのほか,形の記述とかいろいろな面白い話が載っています. 形の記述というと最近…

JST CREST 日比チーム(編)「グレブナー道場」共立出版 2011

グレブナー基底にまつわる書籍や解説はほとんどがこの CREST メンバーによって書かれている印象です.というよりも私の持っている本がほぼその系統ということかもしれません.ただ,その路線だとほぼほぼ数学科の学生が学ぶ道筋になっていて,先が見えにくい…

J.A.Lee, M. Verleysen "Nonlinear dimensionality reduction" Springer 2007

次元削減のいい本がないかと思って買った本ですが,これは正直期待外れでした.t-SNE とかも載っていないし(SNE だけかろうじて載っています),深層学習系はもともと期待はしていませんでしたが載っていません.枯れた手法を体系的に書くというのはそれな…

有山正孝「振動・波動」裳華房 1970

残っている本が少なくなってきて,どの本を選ぶかも難しくなってきました.甘利先生関係の本はたくさん残っているのですが,ちゃんと残しておきたいエピソードを思い出すまで寝かしてあります. この本は教科書として持っていた本ですが,大学の時にどんな講…

宮川 雅巳「品質を獲得する技術: タグチメソッドがもたらしたもの」日科技連 2000

企業共同研究をしていて、企業側に統計に詳しい人がいるときは、品質管理の専門家という場合が結構あります。特に製造業では品質管理が最重要ということだと思います。 企業共同研究は電総研時代は全くやりませんでした。産総研になっても基本は論文を書くた…

B. コルテ, J. フィーゲン「組合せ最適化 第2版」シュプリンガー東京 2009

辞書のように分厚いこの本は実際に参照することはあまりありませんでした。研究というのは論文を生み出すビジネスなので、現時点で論文を生み出せるネタに注力することになり、それは必ずしもその研究分野全体を代表しているとは限りません。 応用分野であれ…

伊藤正夫(編)「脳と思考」紀伊国屋書店 1991

学生の頃からずっと脳科学と情報科学がつかず離れずで進んできた状況を見てきました.この本もそうですが,いろいろなプロジェクトが立ち上がり,その成果物の一つとして本が生まれます.まあ書いてある内容はどれも似たり寄ったりという気もします. この手…

S. Sra, S. Nowozin, S. J. Wright "Optimization for machine learning" MIT Press 2012

今は NeurIPS と呼ぶ NIPS は私が電総研に入る少し前から開催されていました.その前身は以前にも書いたユタ州の Snowbird で開かれた Learning workshop で,私も一度参加しました. NIPS の方は 1992 年頃にデータにノイズをのせる話を投稿しましたが見事…

Te Won Lee "Independent Component Analysis: Theory and Applications" Kluwer Academic Publishers 1998

ICA の本で最初に買ったのはこの本だと思います.調べてみると Hyvarinen の本はその前に出ているようですが,あの分厚い本に比べてこちらはコンパクトです.例によってこの ICA 初期の有名人である著者とは面識がありません. ICA とかは今の深層学習のモデ…

福田剛志,森本康彦,徳山豪「データマイニング」共立出版 2001

著者の徳山先生は,以前にもとりあげたように私が伊理研の時に数学科から来られていて,こちらが一方的に知っているという関係です. データマイニングという言葉も昨今あまり聞かなくなりました.いわゆる頻出マイニングのようなアルゴリズムがだいたい落ち…

R. Szeliski「コンピュータビジョン ―アルゴリズムと応用」 共立出版 2013

コンピュータビジョンの決定版的な教科書っぽいということで買ってみましたが、大きくて重い辞書サイズの本なのでなかなか手に取って読むということはなかなかありません。 監訳者の玉木さんは以前スパースモデリングの翻訳もされていましたが、これ以外にも…

J.メイナード-スミス「進化とゲーム理論 ー闘争の論理ー」産業図書 1985

この本もGA関係の勉強をしていたときに買った本です。ゲーム理論の基本(ナッシュ均衡とか)は計数の学部で少しやったと思いますが、どんな講義の中だったかは完全に忘れました。このずっと後にゲーム論的確率論みたいな話も出てくるわけですが、この頃は全…

J.S.Liu "Monte Carlo Strategies in Scientific Computing" Springer 2001

単純なモンテカルロ法は学部生でも習ったと思いますが,MCMC に到達するには結構な年月がかかりました.この本はコンパクトにモンテカルロ法やMCMCに関するオーバービューができる良書だと思います.ただ,HMC=hybrid/Hamilton Monte Carlo とか,呼び方が複…

P. Larranaga, J.A.Lozano (eds) "Estimation of Distribution Algorithm" Kluwer 2002

電総研に入ってしばらく勉強した GA の長所や欠点もだいたいわかってきたところで,確率モデルを学習しながら最適化も行うアプローチに興味がわいてきました.当初はまだ EDA という名前はなかったと思います.しかも最近は EDA という言葉を聞くことはほと…

C.G.Small, D.L.McLeish "Hilbert space methods in probability & statistical inference" Wiley-interscience 1994

タイトルからすると再生核とかその辺を期待して買った本でしたが,中身はセミパラとかの本でした.ちょうどこのころ川鍋さん・甘利先生と金谷先生とのバトルもあり,関心事ではあったのですが,あまり議論の本質を理解しきれてはいませんでした.Bickel とか…

黒田 耕嗣, 樋口 保成「統計力学: 相転移の数理」 培風館 2006

この確率論教程シリーズは伊庭さんに教えてもらったシリーズだったと思いますが,その第6巻がこの本です.確率論というのはこの本のように物理学に近くて,一方統計学は文系の学問という感じがします.このように近いものが意外に離れているということはよ…

外山 敬介, 杉江 昇(編)「脳と計算論」朝倉書店 1997

科研費の重点領域で脳科学関係がずっと続いていて、私も初期のころ蓼科での学会に参加して外山先生をはじめ甘利先生とつながりのある脳科学の先生方を知りました。この本は、スパースモデリング・コバリアンス仮説・順逆仮説という3つの仮説でまとめられて…

J. アルバート「Rで学ぶベイズ統計学入門」  シュプリンガー東京 2012

ここ数年は機械学習やベイズ統計なんかのセミナーを頼まれることが多くなりました。統数研の公開講座や放送大学なんかもそれの仲間です。早稲田以外は恒常的に授業をもっていない私はセミナーのためのスライドとか資料を持っていなかったため、最初は結構準…

宮川 雅巳「統計的因果推論: 回帰分析の新しい枠組み」朝倉書店 2004

因果関係を知りたいという要望は共同研究をしていると山のようにありますが、私が因果推論にそれほど詳しいわけでもないこともあり、特に介入がない場合の因果推論は難しいのでやめておいた方がよいとお断りすることが多いです。 逆に因果とか言わなければ、…

甘利俊一「バイオコンピュータ」岩波書店 1986

この本は時期的に計数工学科に進学した後に買った本だと思いますが、たぶんそれまで甘利先生の名前は知らなかったと思います。どのような経緯でこの本を手に取ったかの記憶は今となってはありませんが、結果的にこの本をきっかけに甘利研に進み、その後の長…

増田久弥「非線形数学」朝倉書店 1985

非線形と言ったときに,線形でないものの意味か,線形を含むより一般的なという意味かで捉え方がやや変わってくるように思います.本書はどちらかといえば前者で,不動点とかから始まって,分岐やソリトンなどの話題がコンパクトにまとまっています.一方,…

V.V.ニクソン,I.R.シャファレヴィッチ「幾何学と群」シュプリンガーフェアラーク東京 1993

この本も電総研に入って3年ほどして買った本で,帯についている「欧米ベストセラー」という踊り文句につられて買った本です.原著がロシア語で,しかも数学の本でベストセラーってどういう感じかというのが想像もつきません.訳者の根上先生という方も書か…

Gary Bradski, Adrian Kaehler 「詳解 OpenCV ―コンピュータビジョンライブラリを使った画像処理・認識」オライリージャパン 2009

特定の応用を持っているわけではないですが、画像処理や画像認識が比較的見栄えもよくて処理することが多いので、OpenCV の本を買ってみましたが、実際のところはほとんど matlab で書いていました。 matlab は R や Python で定番のパッケージを後追いで実…

David Edmonds "Oxford Reverse Dictionary" Oxford university press 2002

今の時代と違って子供時代はまわりに英語というものがまったくない世界で成長しました。中学に入るといよいよ英語ということで、最初に英語が表音文字でないことに強烈な違和感があって第一歩からつまずきました。中学で通っていた掘っ立て小屋の山北塾では…

日本地球化学会(監修)「地球化学概説」培風館 2005

地質分野の人たちとの交流については何回か書きましたが、最近はその交流が一番しっくり来ています。もちろん自分の分野ではないので、地質メインの話で盛り上がっているところには入っていけず疎外感を感じることもないではないです。ただ、お客さんとして…

北原和夫ほか「非平衡系の科学I・II・III」講談社 1994

なんとなく年度末で,気持ちがせわしなくてここの更新もちょっとおろそかになっています.産総研での残された時間はまだ2年もあるので,のんびりやっていけばよいのですが,こういうのはさぼりだすととめどなくなるので,少なくとも本の整理をはじめてから…

D.J. Amit "Modeling brain functions" Cambridge university press 1989

Amit は第2次ニューラルネットブームの主力研究者の一人だと思いますが、具体的にどういう研究をした人なのかはよく知りません。 この本で出てくる脳のモデルはアトラクタダイナミクスに着目したもので、日本だと津田一郎先生とか谷淳さんとかがこの方面に近…

中村滋「フィボナッチ数の小宇宙」 日本評論社 2002

フィボナッチ数は高校でも数列の基本として習いますし、機械学習だと動的計画法の導入で少し使ったりします。というわけで身近な題材ですが、これもタイトルにつられて研究費の余りで購入した本です。 話は思っていたより多岐にわたり、数論における未解決問…