toddler’s diary

以前は研究にあまり関係ない雑談・2023年4月から本を通じた自分の振り返りやってます

2023-08-01から1ヶ月間の記事一覧

B. Efron "The Jackknife, the Bootstrap and Other Resampling Plans", SIAM 1982

計数の3年生だか4年生だかに計数輪講という必修単位がありましたが、それまで輪講という言葉すら聞いたことがなかった私は何をどうしてよいのか全く分かっていませんでした。 最初になんとか理解したのは、論文を読んでその内容をみんなの前で発表することと…

岡之原大輔「ディープラーニングを支える技術」技術評論社 2022

岡之原さんとは直接面識はなく、どのような背景の方なのかは正直よく知りません。たぶん理学部情報科学科のごっ出身だと思うのですが、私の時代の感覚では情報科学科はどちらかというと離散数学とかに強いイメージでした。パターン認識系の学会とか、人工知…

内山 龍雄「相対性理論入門」岩波新書 1978

小学校高学年の頃、名古屋市科学館の天文クラブというのに入ると週に1回か月に1回か忘れましたが、プラネタリウムでの学習や科学館の見学をできたりという特典があり、当時住んでいた昭和区から伏見の科学館まで通っていました。それが宇宙に興味をもつ第一…

中西正和「LISP入門」近代科学社 1977

計数でプログラム言語としてちゃんと習ったのは LISP だけです(Fortran, Prolog は授業ではチョイ見せだけでした)。LISP は関数型言語の理論をそのまま実現したような言語なので、美しさがあります。もちろん実用的なプログラムを作るには pure LISP だけ…

庄司渉「マイコン&BASIC入門」 誠文堂新光社 1981

高校の時は家の方針でパソコンを買えなかったので、この本を読んで買うのを夢見て過ごしていました。今見返すと当時のパソコンのスペックとか載っていて懐かしいです。64KB のメモリ(メガではなくキロ!)とか膨大に思えましたし、1MB のフロッピーディスクと…

福水 健次, 栗木 哲, 竹内 啓, 赤平 昌文「特異モデルの統計学」岩波書店 2004

特異モデルといえば渡辺澄夫さんのイメージが強いですが、この本には渡辺理論は触れられていません。むしろ渡辺理論以外の特異モデルの解析を勉強するのに非常に有用な本です。著者は4名ですが、福水さんと栗木さんがメインを書いていて、後の大御所二人が追…

F.シャトラン「行列の固有値」シュプリンガー・フェアラーク東京 1993

多変量解析や機械学習の解析でつきものなのは行列の固有値で、以前取り上げたランダム行列の固有値なども強力なツールです。この本はそのような行列の固有値の性質や計算法など固有値に特化した本になっており、もともと英語版は持っていたのですが、日本語…

坂元 慶行、石黒 真木夫、北川 源四郎「情報量統計学」共立出版 1983

修士の頃 VC 次元や Valiant の学習可能性など、汎化能力やモデル選択の話が盛り上がっていました。モデル選択と言えば AIC が有名ということで、修士の途中では AIC について勉強したいなと思っていましたが、甘利先生はあまり面白い話はないみたいな対応だ…

岡田美智雄「口ごもるコンピュータ」共立出版 1995

研究をする際は、問題を発見し、それを解くということの繰り返しです。どのような問題があるかは、学会で研究発表を聞いたり論文をたくさん読んだりしているうちに湧き上がってくるものかなと思います。ただし、試験問題と違って、その問題に答えが存在する…

鈴木則久(編)「オブジェクト指向 解説とWOOC'85からの論文」共立出版 1985

まだ Basic や C 言語を覚えたての大学生だったころ、オブジェクト指向という名前を聞いてとりあえず本屋で見かけて買ってみたという本です。まあ言語というのは解説書だけ読んだだけではよくわからないもので、実際に処理系を触りながら実感していかないと…

平岡裕章「タンパク質構造とトポロジー パーシステントホモロジー群入門」共立出版 2013

新学術領域科研費スパースモデリングの最中に、桑谷さんを中心として東大地震研共同研究という予算はほとんどないけど楽しい集まりに参加させていただきました。公募班にいた長尾さんが受け入れで、その後上木さん、吉田さんをはじめ、地学界の重鎮である鳥…

栗原安行「2色刷麻雀入門」日東書院 1983

昔は麻雀が大学生の嗜みみたいなところもあって、この本を買いました。ただ、賭け事に手を出すことに抵抗があったので、実際に打ったことはほとんどありません。PC8801 のゲームに麻雀があって、高校の同級生の杉浦君からもらったもので主に遊んでいました。…

笠原 晧司「微分方程式の基礎」 朝倉書店 1982

微分方程式の教科書として買った本ですが、微分方程式の講義をいつ受けたのかは忘れてしまいました。計数に進んでからは安定性とかの話をやりましたが、最初は初等的に解ける微分方程式の解き方をやったと思います。 最初は結構複雑な形の微分方程式がうまい…

Bradley Efron, Trevor Hastie 「大規模計算時代の統計推論」共立出版 2020

統数研とのクロアポになって改めて統計と機械学習の関係について考えさせられることが多いですが、この本はまさにその問題を象徴するような本です。前にも書いたかもしれませんが、私個人の意見としては内容的な差異は実質なくて、学会やコミュニティが異な…

下條信輔「視覚の冒険」産業図書 1995

この本はランダムドットステレオグラムを出発点として、視覚にまつわる研究動向などについてエッセイ風にまとめた本です。下條先生は1,2回何かの講演をお聞きした記憶ぐらいしかありませんが、話が上手でこの本も非常に読みやすいです。とりあえずその能…

高橋渉「非線形関数解析学 不動点定理とその周辺」 近代科学社 1988

私が大学にいたころ複雑系など非線形現象に対する関心が高い時期でした。私もなんとなく非線形を知りたくなってこの本を手に取ったと思います。ただ、まだその頃関数解析もよく知らない頃で、かなり読むのに苦労しました。 ニューラルネットワークも非線形変…

銅谷 賢治・伊藤 浩之・藤井 宏・塚田 稔(編)「脳の情報表現―ニューロン・ネットワーク・数理モデル―」 朝倉書店 2002

電総研が独立行政法人化に伴い産総研に統合されました。当初は不安もありましたがいろいろフレキシブルになる面もありいい研究環境になったと思います。ところが、その後はどんどん研究のしづらい環境へと逆行して今ではむしろ電総研時代の方が自由だったと…

マーティン・アイグナー、ギュンター・M.ツィーグラー「天書の証明」 丸善出版 2012

本を題材にした自分の振り返りも早4か月ほど経ちましたが、研究室の本はまだ無数にあってまだまだ底が見えません。ほぼ自分のための記録ですが、知っている方にしても知らない方にしてもここを訪れてくださる方はとてもありがたいです。細くても外とつなが…

阿部一佳、岡本進「現代スポーツコーチ実践講座12 バドミントン」 ぎょうせい 1985

大学に入ったら適当にサークルとか入ってキャンパスライフをエンジョイしよう、みたいな軽いノリで大学生活はスタートしました。東大では最初にオリエンテーション合宿と言って、2年生の担当の方と1年生が合宿で交流を深めたり大学生活について話を聞いた…

小林 康夫、船曳 建夫 (編)「知の技法」東京大学出版会 1994

この本を買ったのは、当時マドンナのヌード写真が載っていると噂になったからですが、東大の教養の教科書ということもあります。 読んでみると、文系の研究とは何かという内容になっています。マドンナについても真面目に論説されています。ただし、やはりこ…

上坂吉則「Matlab 可視化プログラミング」牧野書店 2011

上坂先生は RWC の理論グループの superviser 的な存在で会合でときどきお話をさせていただきました。修士の時に連想記憶の記憶容量の研究をしていたので、上坂・尾関の結果というのでもちろん名前は存じ上げていました。実際にお会いすると、物腰はやわらか…

山崎弘郎、石川正俊(編)「センサフュージョン」コロナ社 1992

私のしてきた仕事のいくつかは複数情報源からの情報統合に関連があります。マルチモーダルとか、この本のタイトルにあるようなセンサフュージョンというようなものです。前にも書いた、なぜか自分の代表的な研究になっているカーネル正準相関分析なんかもそ…

志賀浩二「現代数学への招待 ー多様体とは何かー」岩波書店 1979

この本をいつ購入したか忘れてしまいましたが、手持ちのが 1988 年の 5 刷なので修士の時だったと思います。甘利研に入って、微分幾何周りの議論にまったくついていけず、入門的なこの本を手に取ったのではないかと想像します。 あとがきにも書かれているよ…

M.F.Grunden, H.B.Henbest「基礎有機化学 有機化合物の構造と反応 改訂版」東京化学同人 1978

大学受験で理科は物理と化学を選択しました。物理は法則が中心で覚えることも少なかったのですが、化学は覚えることだらけで記憶力が悪い私には苦手な教科でした。高校の化学の教科書があまりにも理論がなく覚えるだけという感じがしたので、本屋で見かけて…

加藤文元「宇宙と宇宙をつなぐ数学」角川書店 2019

宇宙際タイヒミュラー(IUT)理論を理解できているわけではないですが、このように新しい数学が生まれていく過程を見るのはわくわくします。圏論について書いたときに自分にはこの抽象性は不要かもというようなことを書いた気がしますが、圏論を含め新しい数学…

小畑健・ほったゆみ「ヒカルの碁」集英社 1999

ついにマンガまで参入しました。実家にいたころは家の方針でマンガというものを全く持っていませんでした。とはいえ、友達の家に遊びに行ってマンガ読みふけってましたし、小学校の時近所の児童館の図書室にある古いマンガ(のらくろとか冒険ダン吉とか)は…

David Marr "Vision" MIT Press 2010

David Marr のこの本はもともと 1982 年発行ですが、原著が絶版になっており私は on demand 版で入手しました。白血病で若くして亡くなられた伝説的な神経科学者で、この本も没後に出版されたものです。 小脳パーセプトロン説とかすばらしい業績もありますが…

磯田浩「第3角法による 図学総論」養賢堂 1967

今はどうなっているかわかりませんが、大学に図学という講義がありました。最初に製図ペンや大型定規やコンパスのセットなんかをそろえて、ケント紙に立体図や投影図を描くというものです。私はステドラーでしたがロットリングを使っている人も結構いました…

加久間 勝(監修)「第2種情報処理技術者試験受験100講」山海堂 1985

アマチュア無線の試験は受けませんでしたが、情報処理技術者試験は興味があって受験しました。現在は第2種とは呼ばないようですが、一番基本的なやつです。運転免許証以外でまともに資格と呼べるものはこれなんですが、実際に資格を持っていて役に立ったこ…

志賀徳造「ルベーグ積分から確率論」共立出版 2000

ルベーグ積分については電総研に入ってから勉強しました。計数の解析数理工学は私の代では馬被先生が微分方程式の安定性とかの講義をされて、私の下の代ではルベーグ積分や関数解析の話などをやったということを聞きました。 ルベーグ積分は確率関係の論文や…