toddler’s diary

以前は研究にあまり関係ない雑談・2023年4月から本を通じた自分の振り返りやってます

銅谷 賢治・伊藤 浩之・藤井 宏・塚田 稔(編)「脳の情報表現―ニューロン・ネットワーク・数理モデル―」 朝倉書店 2002

電総研が独立行政法人化に伴い産総研に統合されました。当初は不安もありましたがいろいろフレキシブルになる面もありいい研究環境になったと思います。ところが、その後はどんどん研究のしづらい環境へと逆行して今ではむしろ電総研時代の方が自由だったというように思います。特に、工業技術院の研究所を全部ひとつにまとめて巨大化したおかげで上下の風通しが極めて悪くなり現場の切実な声を反映させることが難しくなりました。

 

さて、私は産総研になった時に栗田さんのお力もありグループ長にしていただきました。これから脳と情報科学をつなぐ研究を本格的にやっていかないといけないという意識が高くなりましたが、自分自身の知識や見識が不十分な気がしていました。そんな折、神経情報科学サマースクールの参加者募集があり、応募しました。そこには参加の意気込みのようなものを書く必要があり、上記のようなことを書きましたが不採択となりました。その後、オブザーバーとしてなら参加してよいというお許しを得て、結果として参加することができました。ちょうど神経回路学会の理事とかもやっていたので、大人特権といったところでしょうか。この時に、今活躍されている若手の方や指導者側で参加していた深井さんとかと交流させていただきました。

 

この本のシリーズも、そのようなサマースクールや蓼科・ルスツのワークショップをベースに企画されたものです。この本自身は私が参加したものとは時期が少しずれていますが、情報系のそうそうたるメンバーが執筆していて、深井さんをはじめ、岡田さんや村田さん、池田思朗さん、青柳さん、そして Nature に書かれる前後だと思いますが菅生さんなどもいらっしゃいます。また、阪口さんと樺島さんが連名で執筆されているのも目を引きます。

 

このあたりの時期をピークとして、機械学習脳科学ディープラーニングブームが来るまでは割とセパレートしていった気がします。私自身は、無理に分野をくっつけるみたいなことはする必要はなくて、近づいたり時々は遠のいたり必要に応じてやっていけばいいように思います。ただし、交流はずっと続けていくことで、分断しないことは重要だと思います。