toddler’s diary

以前は研究にあまり関係ない雑談・2023年4月から本を通じた自分の振り返りやってます

E.H.L. Aarts, J.H.M.Korst, "Simulated Annealing and Boltzmann Machines: A Stochastic Approach to Combinatorial Optimization and Neural Computing" John Wiley & Sons 1989

修士の頃に Geman & Geman のシミュレーテッドアニーリングの収束の話で盛り上がっていました。まだその頃には証明をフォローできるほどの知識はなかったですが、こういうことも証明できるんだということを知って興味がわきました。

 

電総研同期入所の秋山泰さんはそれ以前に一度甘利研にトークをしに来られたと思います。博士課程で通常のボルツマンマシンのロジスティック関数をガウシアン(一般化線形モデルの言葉で言えばプロビット)にしたガウシアンマシンというのを提案して、ボルツマンマシンより速いことを証明したとかしないとかそういう話でした。まあその真偽はともかく、秋山さんと一緒に来ていた武藤某という方が怪しすぎて甘利研のみんなは引きまくっていました。

 

甘利研に限らず計数では純粋に学術を追求するという態度で、教授だろうと学生だろうと研究の議論の上では上下の別なく完全に対等でした。もちろん教授の先生は知識は豊富ですが、すべて完ぺきということはなく、それを学生が遠慮なく指摘しても何の問題もないという空気がありました。前述の武藤某氏は研究者というよりは研究ビジネスマンという感じで全く甘利研の空気には合っていませんでした。

 

そんなことを思い出すと、私がやっている企業共同研究や村田研でやっている赤穂会などではどうでしょうか。学生さんや若い研究者の方々は遠慮なく発言できる雰囲気作りができているかどうか、あまり自信がありません。研究とは一切の忖度なく、純粋に知的好奇心に基づいて議論できてはじめて最大のパフォーマンスが発揮できると思います。長いこと産総研というなんだかお役所のような研究所にいて自分自身そういう純粋な気持ちが薄らいでいるのではないかと自省して、今後に生かしていきたいと思いました。