toddler’s diary

以前は研究にあまり関係ない雑談・2023年4月から本を通じた自分の振り返りやってます

2023-10-01から1ヶ月間の記事一覧

C.M.Bishop "Pattern Recognition and Machine Learning" Springer 2006

神嶌さんからこの本の翻訳を提案されたとき私は少し意外に思いました。ビショップはニューラルネット系のコミュニティでは知られていましたが、まだディープラーニングがこれほどのものになるとは考えられていなかった時期で、神嶌さんはAI学会を中心に活動…

青嶋誠、矢田和善「高次元の統計学」共立出版 2019

次元に比べてデータ数が圧倒的に多い漸近論の世界というのはもうかなりやりつくされていることもあり、また現実問題は少数データ+高次元という状況が圧倒的に多いので、それに対応する理論が求められています。 青嶋先生たちのこの本は、主成分分析を中心と…

Bernhard Scholkopf, Alexander J. Smola "Learning With Kernels: Support Vector Machines, Regularization, Optimization and Beyond" MIT Press 2001

前にも書いたかもしれませんが、私がサポートベクターマシンを知ったのはかなり遅い方だったと思います。そのころは津田さんといっしょに研究させていただいていたのもあり、遅ればせながらいろいろな情報を得ることができ、結果としていろいろな解説記事を…

ポール・J. ナーイン「ちょっと手ごわい確率パズル」青土社 2002

宝くじとかギャンブルとか見ていると、人間というのは確率的な思考に向いていないんだという気がしてなりません。という単純な考えは浅はかで、効用とかもろもろ考えると人間の行動も合理的な面があったりなかったりみたいな話はあるかもしれません。 ともか…

D.M.Titterington, A.F.M.Smith, U.E.Makov "Statistical Analysis of Finite Mixture Models", Wiley 1985

相変わらず本棚の冊数は見た目全然減った気がしませんが,毎日見ているうちにどんな本が多いか少ないかといった様子がわかるようになってきました.小さなトピックで目立つのはカーネル法,混合分布,MCMC,情報幾何で,これらは一時期関係ある本をとりあえ…

清水泰隆「統計学への確率論,その先へ」内田老鶴圃 2019

自分の本棚は自分が長年勉強や研究と格闘してきた歴史であって,それは必ずしも美しいとは限りません.特に大学にいたころは確率統計をろくに勉強してこなかったので,数学科ではどういう風に勉強していくのが王道なのかとかはほとんど知らず,未知の概念に…

Sau Sheong Chang 「RとRubyによるデータ解析入門」オライリージャパン 2013

プログラミング言語の本では圧倒的に R 関係の本が多いので,少しずつここでも消化していかないといけないのですが,今日はその中でもちょっと変わり種のこの本をとりあげます.この本は R だけでなく,Ruby も使ってデータ解析をするというのを例題を使いな…

J.S.Urban Hjorth ”Computer intensive statistical methods --- validation model selection and bootstrap" Chapman & Hall 1994

電総研の頃はまだネットで十分な情報を得られることもなかったので,本は論文で引用されていたり知り合いからの評判だったりで買っていました.手続きも紙ベースのものでしたが,研究室の秘書さんに情報を伝えれば手続きを進めていただけたので,研究者サイ…

小出昭一郎「物理学」裳華房 1975

この本はたぶん高3か大学初年度に買った本だと思います.物理は生物や化学に比べれば覚えることは少ないはずなんですが,それでも多岐にわたる分野なので,この辺の歳ではまだ全貌がよくわかりません.そういう意味では,物理学全体を見るのに薄くてわかりや…

佐川 弘幸、吉田 宣章「量子情報理論」シュプリンガー 2003

量子力学の状態の重ね合わせを使って量子計算機や量子通信といった技術が将来に実用化されればこれまでの計算や通信にとってすごくブレイクスルーになることは確かだと思います。ただ、少なくとも今の日本でこれらの実用化を近い将来実現することは無理だと…

田中久美子「記号と再帰: 記号論の形式・プログラムの必然」東大出版会 2010

田中さんは電総研に一瞬だけ所属されていたことがあり、私のかすかな記憶では新人研修の時に情報数理にも来られて、私がEMのデモかなんかを見せたら鋭い突込みをされたことがありました。たぶんすぐやめられてしまったのでそれ以外にお話しするとかはありま…

R.ヘクトニールセン「ニューロコンピューティング」トッパン 1992

第2次ニューロブームの時に書かれたこの本は,懐古的な興味以外ではほとんど読む価値はありません.ヘクロニールセンについてはあまり詳しくは知りませんが,甘利先生とは親しい間柄だったようで(とはいえ甘利先生と親しい人は無数にいますが),甘利研にヘ…

伊達千代「デザインのルール、レイアウトのセオリー。」MdN 2010

小学校の時に絵のコンクールで受賞したり,建築に興味を持っていたり,デザインというものにずっと興味がありました.ただ,研究職になってからは,むしろ見た目ではなく中身こそが大事という考えで,プレゼンの資料とかでもデザイン性についてはほとんど考…

中村 宏樹「偏微分方程式とフーリエ解析」東京大学出版会 1981

教養から専門課程に進むと,この本で扱っている偏微分方程式とかフーリエ解析とかに出会うことになります.一見すると,偏微分方程式は教養生でも知っている普通の微分方程式がただ多変数に拡張しただけのように見えますし,フーリエ変換とかも高校からなん…

小山 信也「素数からゼータへ、そしてカオスへ」日本評論社 2010

数学に触れていればリーマン予想というのがどうしても気になります。とはいえ、自分の研究とはほぼ関係なく、レベルも高そうなのであくまで好奇心でとりあえず知っておくということです。問題自体はそれほど難しくないのですが、それに対して数学者がどのよ…

Alfred Gray "Modern Diffential Geometry of Curves and Surface" CRC Press 1993

書棚の本はまだほとんど減っている感じがありませんが,読んでない本や今まで取り上げたトピックとかぶる本が多くなってきて,どの本を選ぶかが難しくなっています.あと,記憶の大部分のネタはすでに書き尽くしてしまった感じがします.それでもたまに脳の…

デイヴィット・サルツブルグ「統計学を拓いた異才たち: 経験則から科学へ進展した一世紀」日本経済新聞 2010

統計学の若干気持ち悪いのは役に立つことを前面に押し出していることです。私は役に立つということを主張することにはかなり慎重になるべきという考え方です。統計学に限らず、役に立つものは使い方によってはマイナスの側面もあり、そういうことをすべてひ…

Gary Chartrand, Ping Zhang, Albert D. Polimeni「証明の楽しみ 基礎編・応用編」丸善出版 2014

数学の力の一つは証明する力だと思います。以前取り上げた天書の証明とか、この本のように証明を鑑賞するのも自分の力になると思って購入しました。高校や大学教養くらいまで数学力をつける方法はたくさん良質の練習問題を解いたり、場合によっては大学の数…

彌永昌吉,小平邦彦「現代数学概説 I」岩波書店 1961

大学生のときに買った本だと思いますが,たぶん当時の私には難しすぎてほとんど本棚の肥やしになっていた本です.今読み返してもかなりしんどいです.まあ一から読んでいくのは不可能ですが,ところところ拾い読みするには面白い本です. ずっと数学というも…

塚本健「経済学原論」東京大学出版会 1980

教養の文系科目の一つが経済学で,この本の著者が担当教授でした.著書を教科書に選ぶというのも大学の先生のいいビジネスモデルだと思います.通常この手の本はそんなに売れませんから.大教室での講義で受講生の数も多かったと思います.今思えば古本で買…

T.コホネン「自己組織化と連想記憶」シュプリンガーフェアラーク東京 1993

SOM という言葉も最近はめったに聞かなくなりましたが,九工大の古川さんは SOM を拡張する話でがんばっています.私が学生時代,甘利先生の解析や倉田さんのD論なんかでも主要な数理モデルではありましたが,あまり実用的なものだとは思っていませんでした…

玉木 久夫「乱択アルゴリズム」共立出版 2008

アルゴリズムの計算量を最悪評価するか平均評価するかとか細かい話があります。恥ずかしながら割と遅くまでクイックソートの最悪計算量が n^2 ということをちゃんとは把握していませんでした。乱択アルゴリズムは基本的にランダムネスを入れることで最悪の場…

Jose A. Lozano, Pedro Larrañaga, Iñaki Inza, Endika Bengoetxea (eds.) "Towards a New Evolutionary Computation", Springer 2006

ランダム最適化系については、自分自身では最近ではほぼMCMCやそのバリエーション一択ですが、共同研究なんかだと swarm optimization だったり、GA の流れをくむ進化計算なんかもよく使われている印象です。GA は binary 配列の最適化が得意なイメージです…

トーマス・ミコシュ 「ファイナンスのための確率微分方程式:ブラック=ショールズ公式入門」東京大学出版局 2000

統計学科が経済学部にある通り、確率統計の大きな応用先の一つが経済学ですが、計数にいて経済関係の話を聞くことはほとんどないので、ブラックショールズのような超有名な確率微分方程式はおろか、そもそも確率微分方程式についてほとんど知識がありません…

A.J.C.Sharkey (ed) "Combining Artificial Neural Nets Ensemble and Modular Multi-net Systems", Springer 1999

ニューラルネットなどの学習器を組み合わせるという話は、最初に Jacobs & Jordan のmixture of experts が出てきて、その後アンサンブル学習なんかが出てきました。その辺の話を流行っていた当時にまとめたのがこの本で、Breiman とか Jacobs とか有名人が…

ポントリャーギン「常微分方程式 新版」 共立出版 1968

以前にも書いたと思いますが、計数の数理工学シリーズのうち解析数理工学は甘利研の(たしか)講師であった馬被先生による微分方程式論でした。後の代ではルベーグ積分論とかだったらしいので、そちらを勉強したかったなあと思いますが、まあ結果的には両方…

浦川肇「ラプラス作用素とネットワーク」裳華房 1996

カーネル本を書いていた時,多変量解析まわりはすでに知っている範囲の説明ができたましたが,ラプラシアン固有マップなど離散系とのつながりについては知識がかなり怪しいものでした.この本はそうした中勉強しようと思って買った本です.2008 年頃に買った…

R.A.ジョンソン,D.W.ウィッチャン「多変量解析の徹底研究」現代数学社 1992

電総研に入って研究室で行われている多変量解析の話についていけなかったので何冊か買った本の1つです.翻訳さえよければ訳本の方がクオリティの高い教科書が多いような気がするのは仕方のないことでしょうか. 電総研に入ったときは室長の大津さんが個室で…

渡辺茂,須賀雅夫「システム工学とは何か 改訂版」NHKブックス 1977

大学の時にシステム工学という講義があってその時に購入した本だと思います.まえがきには「システム工学とは,組織をコンピュータで解明しようとする学問である」と書いてあり,正直これではなんのことやらわかりません.システムとは要素論的ではない複合…

K.イェンゼン,N.ヴィルト「PASCAL」培風館 1981

どんなものにも寿命があり,例えば研究者であれば自分の研究ができるだけ長生きするよう願っていると思います.プログラミング言語にも栄枯盛衰があり,PASCAL という言語は今では知っている人も少ないのではないかと思います. 私が学生の頃は PASCAL は教…