toddler’s diary

以前は研究にあまり関係ない雑談・2023年4月から本を通じた自分の振り返りやってます

ポール・J. ナーイン「ちょっと手ごわい確率パズル」青土社 2002

宝くじとかギャンブルとか見ていると、人間というのは確率的な思考に向いていないんだという気がしてなりません。という単純な考えは浅はかで、効用とかもろもろ考えると人間の行動も合理的な面があったりなかったりみたいな話はあるかもしれません。

 

ともかく確率というのはなにかとパラドックスのネタが豊富です。それを期待してこの本を買ったのですが、思っていたのとはちょっと違いました。

 

この本はとにかく理論解析よりもシミュレーション志向で、matlab でとにかく実験してみようというスタンスです。実際理論研究でも、実験的になりたつことを見つけて、それを理論化するというケースがかなりあるように思います。私自身はあまりそうした研究はしてきませんでしたが、ディープラーニングの理論研究の多くが、まず現象が実験的に発見されて、その後理論的な裏付けをとるということが多かったように思います。

 

こういう言い方をすると、理論というのは後追いで、何も新しいものを生み出さないというようなことを言われることもあります。ただし、実験的な結果というのは、往々にしてそのときの前提条件や設定に依存しやすいとか、あるいはランダム性でたまたま出たみたいなこともあります。それを理論がちゃんとチェックしたり、理論で考えればもっと一般化できることがわかったりという側面があると思います。

 

私の場合はあまり実験を先立ってやらないので、頭でっかちに理論的にとりあえず考えてみたあと実験して確かめるというケースが多いです。その場合は上と逆で、理論の穴みたいなのが実験を通じてわかるということもあります。

 

こう考えてくると、実験と理論は実際もちつもたれつの関係にあると思いますが、個人的な好みとしては(自分でできるかどうかはさておき)やはり理論的な方にロマンを感じることが多いので、やはり少々偏っているということかもしれません。