toddler’s diary

以前は研究にあまり関係ない雑談・2023年4月から本を通じた自分の振り返りやってます

彌永昌吉,小平邦彦「現代数学概説 I」岩波書店 1961

大学生のときに買った本だと思いますが,たぶん当時の私には難しすぎてほとんど本棚の肥やしになっていた本です.今読み返してもかなりしんどいです.まあ一から読んでいくのは不可能ですが,ところところ拾い読みするには面白い本です.

 

ずっと数学というものが傍らにはあったものの,純粋数学のど真ん中を進んでは来ませんでした.専門も計数(数理コース)でしたし,阪大数学科で連携大学院を兼任していた時も,基本的には数学者という位置づけではありませんでした.それでも数学者の書いたものを理解くらいはしたいと思って,この手のちょっと背伸びをした本も買ったのだと思います.特に,大学入って,微積線形代数という基礎的なところから,急に複素関数論とかトポロジー,数理論理学,微分幾何学や代数など新しい概念が山のように入ってきてその整理が全然おいつかなかったので,この本のように統一的に書いてある本は魅力的でした.

 

以前も書いたかもしれませんが,阪大の数学科のときに思ったのですが,数学者というのは厳密性を追求する特定の思考様式を徹底的に仕込まれます.それゆえ,逆にそれ以外の厳密性がそれほどでもない分野とは隔絶されやすい気がします.自分はどちらかといえばいい加減な人間なので,数学科の要求するほどの厳密性は合わないと思って今のような進路をたどったのだと思います.

 

悪く言えばすべての面で中途半端な人間,特に強みというものがない研究者になってしまったなと思いますが,それも含めて自分らしいということとして受け入れてはいます.

 

なお,この本には当然 II も発行されていますが,I で挫折してしまったため II は持っていません.