toddler’s diary

以前は研究にあまり関係ない雑談・2023年4月から本を通じた自分の振り返りやってます

T.コホネン「自己組織化と連想記憶」シュプリンガーフェアラーク東京 1993

SOM という言葉も最近はめったに聞かなくなりましたが,九工大の古川さんは SOM を拡張する話でがんばっています.私が学生時代,甘利先生の解析や倉田さんのD論なんかでも主要な数理モデルではありましたが,あまり実用的なものだとは思っていませんでした.古川さんとは津田一郎さんの新学術あたりで末谷さんの協力研究者に入ったころからのつきあいで,ご本人の話はなんだかふわふわしてよくわかりませんが,その後古川研の石橋さんの通訳を介してなんとなく理解できるようになりました.情報幾何的にSOMを解釈しようという話ですが,私が考えるシンプルさに比べると古川さんのモデルは理論に載せるにはちょっと複雑すぎるというところがうまくかみあってくると面白い話になるのかなと思います.

 

古川研はコロナ前の2019年に宮古島でNC研究会に参加したときに,1軒まるまる研究室で借りているところに藤木さんともどもお邪魔して,研究の話はもちろん天体観測したりバーベキューしたりして楽しい時間を過ごしました.

 

Kohonen は SOM の研究者として有名ですが,ヘルシンキ工科大学に国際会議で行ったときに肖像画が飾られていて,存命の研究者で肖像画があるのはすごいなと思った記憶があります.そんな彼もコロナが真っ只中亡くなられていたようです.甘利先生や福島先生とも同年代で,かつ,生涯研究者という方でした.

 

ところで,私は特に若いころ感情のコントロールというのがうまくできませんでした.ほとんどは感情の起伏がないので,たまに訪れる感情の波にうまく対処できないという方が正確でしょうか.まだ電総研に入ってまもないころ,栗田さんもいっしょにいたと思いますが,関田さんの師匠の寅一先生のラボに,どなたかの先生が講演に来られるということで筑波大に行きました.その先生はいまではだれだったのか全くわかりませんが,連想記憶のダイナミクスについて何やら知った風なことを言っていて,特に,収束性については全くわかってなかったのを自分が証明したという主張をされていました.甘利研ではそんなの常識の範疇だったので,なんとなく無性に怒りの感情がこみあげてきて,コメントしようとしたのですが,息が上がって声を出そうとしてもまともに出なかったというのを今でも覚えています.

 

さすがにもう少し時間が経ってからは,そんな場面に出くわしてもスルーする術を覚えましたが,それは単に感情の波が訪れないように防衛しているだけで,本当に抑えられない感情の波が来たらどうなるかちょっと自分自身でも怖い気持ちはあります.