toddler’s diary

以前は研究にあまり関係ない雑談・2023年4月から本を通じた自分の振り返りやってます

デイヴィット・サルツブルグ「統計学を拓いた異才たち: 経験則から科学へ進展した一世紀」日本経済新聞 2010

統計学の若干気持ち悪いのは役に立つことを前面に押し出していることです。私は役に立つということを主張することにはかなり慎重になるべきという考え方です。統計学に限らず、役に立つものは使い方によってはマイナスの側面もあり、そういうことをすべてひっくるめて役に立つというからには社会的な責任を負う覚悟が必要だと思います。

 

逆に純粋数学においては役に立たないことに開き直りすぎている人たちもいて、それはそれでどうかなと思うこともあります。まあ私のようなどっちつかずな立場というのは世の中の多くの支持を得られる意見ではないのかもしれません。

 

この本に出てくる統計学者たちの人間模様は面白いですが、数学者の伝記と違うのは、政治的な色合いがより強いような印象を受けることです。これも役に立つ学問である宿命でしょうか。

 

世の中ははっきり大きな声でものごとを主張できる人の意見に集まるように思います。一方で、中途半端でぼそぼそとこういう目立たないところでつぶやいたり、いろいろ考えすぎて揺れ動くような人間というのは存在感がものすごく希薄です。それでも自分の主義として、見た目や極論で何かを主張するという生き方はできないと思います。