toddler’s diary

以前は研究にあまり関係ない雑談・2023年4月から本を通じた自分の振り返りやってます

J.S.Urban Hjorth ”Computer intensive statistical methods --- validation model selection and bootstrap" Chapman & Hall 1994

電総研の頃はまだネットで十分な情報を得られることもなかったので,本は論文で引用されていたり知り合いからの評判だったりで買っていました.手続きも紙ベースのものでしたが,研究室の秘書さんに情報を伝えれば手続きを進めていただけたので,研究者サイドにはそれほど今と変わりはありません.

 

情報が十分入らない中,昔は本屋さんが見計らいと称して何冊かの本を研究室に置いていき,気に入ったものがあれば購入手続きするという文化がありました.今日取り上げた本もたぶん見計らいで買った本です.この本はまだそれっぽい内容ですが,特に研究と直接関係なくてもなんとなく買ってしまった本というのも少なからずあり,本棚を見ると,なんでこの本があるんだろうという本も並んでいます.最近は見計らいというのもめっきり見なくなりました.

 

計算機やネットワークが進歩して,どんどん便利になっていくかと思いきや,現状は当時思っていたのとは全く違う姿になっているように思います.

 

事務手続きについては,産総研はほとんどがシステム上での手続きが可能になって一見便利になっている反面,そもそも秘書さんにお願いしていた部分も,研究者自身がアクセスしなければならないものも増えて,必ずしも個人としての効率は上がっていない気もします.一方の極端である統数研はわりと紙の文化が残っています.これはシステム化するスケールメリットがないというのが理由かと思います.

 

計算機やネットワーク環境も性能は昔よりぐっと上がりましたが,利便性は逆に低下しています.昔は家だろうとどこだろうとほとんどシームレスにつなげるツールもどんどん開発されて 2000 年頃はむちゃくちゃ便利な環境構築ができつつありました.しかし,その後サイバー攻撃や情報セキュリティの問題でどんどん利便性は下がって,今や研究所の中ですら情報の移動やアクセスなんかがずっと不便になりました.もちろんコンプライアンスということは非常に重要な問題ですが,それによって研究の効率が下がることは研究所の経営層や官庁のお役人は認識しておくべきことだと思います.