toddler’s diary

以前は研究にあまり関係ない雑談・2023年4月から本を通じた自分の振り返りやってます

岡田美智雄「口ごもるコンピュータ」共立出版 1995

研究をする際は、問題を発見し、それを解くということの繰り返しです。どのような問題があるかは、学会で研究発表を聞いたり論文をたくさん読んだりしているうちに湧き上がってくるものかなと思います。ただし、試験問題と違って、その問題に答えが存在するとは限らないので、解けるようにするために問題自身もいろいろと変わっていきます。

 

問題や解決策に対するインスピレーションは、私の場合よく寝ているときに得られることが多いです。若いころは数年に一度、夜中にこれは大発見だというようなことを思いついてそれをつきつめて論文にしてきたテーマが多いです。たいていのものは、朝になってみるとそれほどの大発見ではないのですが、必ずしも直接仕事をしている時間ではないときに思いつくのは不思議です。

 

そのように頭の中で起きている不思議を解決しようとする試みが以前書いたミンスキーの「心の社会」であり、この本もそういうものを目指していると思います。文章は平易でわかりやすい導入で読みやすい本でした。ただし、創発やらアフォーダンス散逸構造といったそれっぽいキーワードを並べて説明しているところは、結局のところよくわからないという印象でした。

 

研究において何をすれば「わかった」と思えるのかは、人にもよると思います。私の場合はやはり頼りになるのは数理モデルで、数理的に説明できない限りはわかった気にはならないと思います。一方で、ロボットとかだと作って動くことで実証するという人たちもいて、私からすると作られたものはそれ以外の要素がありすぎて本質的に背後の理論が成立しているかどうかが怪しく思えてしまうわけです。その辺は科学哲学的にすでにいろいろ議論された話でしょうが、それはそれで私には理解できない話がいろいろありそうです。