toddler’s diary

以前は研究にあまり関係ない雑談・2023年4月から本を通じた自分の振り返りやってます

青木 正直「数理計画法II 非線型計画」共立出版 1972

電総研に入った頃は,数理計画はほとんど線形計画法か,バックプロパゲーションで使われていた最急降下法のことしか知りませんでした.この本は情報数理の壁一面の研究室書棚に収められていたもので,今までも紹介したことのある共立出版の膨大なシリーズである情報科学講座の一冊になります.

 

この本には後ろに貸出カードがついていますが,普通の図書館のものと違って借りた人の履歴は残らないようになっています.あまり記憶にないですが,電総研の図書室はほとんどが雑誌を見に行く感じで,単行本はほとんど研究室や研究者が手元に置いていたので貸出についてはあったかどうか覚えていません.

 

そもそもラグランジュの未定乗数法も知らなくて,その名前を聞くと,解析力学とかでなんか変分とかで出てきたものを連想しますが,主成分分析の導出を見た時にこんな簡単な話かと思った記憶があります.もちろん手法が簡単なだけで,いろいろそれにまつわる理論は難しい話があるわけですが.

 

この本には二次計画法の話も載っているのでSVMとかの理解をする際にも一通りは役に立ちました.その後いろいろな最適化の本を買ったので,この本を見ることは少なくなりましたが,かなり昔に書かれているにも関わらず読みやすい本だと思います.

 

貸出カードもそうですが,昔は1冊1冊の本が大切にされていたんだなということを感じますし,LaTeX もない時代なので,おそらく原稿は手書きで,それを組版して本を作っていった過程は今と比べると効率は悪い分,丁寧に作られていたんだなという気持ちになります.