toddler’s diary

以前は研究にあまり関係ない雑談・2023年4月から本を通じた自分の振り返りやってます

鈴木良次「生物情報システム論」朝倉書店 1991

鈴木良次先生は,私の学生時代は計測の先生で直接講義を受ける機会はありませんでしたが,電総研に入って科振費で栗田さん・田中さんなんかと脳の高次機能のプロジェクトに入らせていただいたときに,少しお話する機会があったと思います(以前吉澤先生について触れたエントリーで書いたプロジェクトです).

 

この本の第0章は,鈴木先生の自伝的な内容をもとに「なぜ生物に学ぶのか」という問いに向き合ってらっしゃいます.そこには南雲研の歴史を中心に,知っている先生方の名前もたくさん出てきてその関係性などがとても興味深かったです.鈴木良次先生も昔電総研(というかその前身の電気試験所)にいらっしゃったこととかも書いてありました.

 

鈴木先生の高尚な文章と比較するのはおこがましいですが,私がこうして記録しているブログもできるだけたくさんの先生方の名前を出していこうと思います.

 

この本にも出てくる Wiener の cybernetics という言葉は,まだ私が電総研に入る前後ぐらいは生きていて,biological cybernetics とかの雑誌は必ずチェックする雑誌の一つでした.今では感覚的には死語になっている気もしますが,調べるとちゃんとジャーナルは続いているようです.

 

この本を見て,この研究分野の位置づけを考えてみると,AI単体としてはどんどん突っ走っていて,それはそれでありだと思いますが,例えば義手義足とか,HCI 関係とか,計算機と人間とか絡む部分はこうした生物モデルのようなものがまだまだ研究することがたくさんあるような気はします.あと,実際に性能云々は置いておいて,純粋に微分方程式とかで書かれる力学系が,アーキテクチャエンジニアリングをがんばるディープ系に比べると,個人的には理論研究をやっていく面白さは勝る気がします.