toddler’s diary

以前は研究にあまり関係ない雑談・2023年4月から本を通じた自分の振り返りやってます

丹治順、吉澤修治「脳の高次機能」朝倉書店 2001

電総研に入ってすぐの夏に甘利先生から旅費をだしていただき蓼科の脳のワークショップに参加しました。このワークショップは脳科学や工学系をはじめいろいろな研究者が集まる学際的なものでした。脳科学機械学習というのは近いようでなかなか難しい関係性で、機械学習の知見から脳科学のことはなかなかわからないし、脳科学データの解析という点では機械学習は単なるお手伝いというような話になりやすいです。

 

電総研でも脳科学と数理というのは割と交流があって、松本元さんとかとも神経回路学会の全国大会をつくばでやったときには親しくお話させていただきました。産総研になっても脳と数理は同じ所属でやらせていただきましたが、分野的な交流は難しくても、基礎科学をやっているというところでシンパシーを感じられているのかなと思います。

 

編者の吉澤先生は、私が修士の時は3講座(元南雲研)にいらっしゃって、私が修士を出てから村田さんたちと甘利研に合流されました。そのころはまだあまり交流はなかったのですが、埼玉大に移られて、栗田さんや田中さんが科振費で脳の高次機能に関する予算を取られたときに入れていただいて、そのトップに吉澤先生がいらっしゃって交流させていただきました。Kappen が日本に滞在されたときかなりお世話をされたということで、私が Kappen のところに滞在したときも、吉澤先生にお世話になったというような話をされていました。

 

現状、脳科学というのは産総研の中でもそんなに重要視されていない感じがあり、動物実験をキープしたりそれにかかる費用を確保するのに苦労されているイメージがあります。数理もそうですが、上の人たちの中にはかなり近視眼的な物言いをする人たちがいて、そうやって基礎学問をおろそかにするが長期的には研究所を弱体化させていくのだと思います。