toddler’s diary

以前は研究にあまり関係ない雑談・2023年4月から本を通じた自分の振り返りやってます

國田寛「確率過程の推定」産業図書 1976

かつて電総研には立派な図書室があり,ちょっと場所を変えて集中したいというときには図書室にこもって計算したり,当時研究所が購読していた雑誌をぱらぱら眺めたりという時間を過ごしました.産総研になってほどなくして図書室機能はどんどんと縮小して,いつごろか完全になくなりました.

 

一方,研究室にも共用スペースの壁いっぱいに図書が並んでいました.まあ最新の本は各研究者が手元でキープしていることが多かったと思いますが,古典的な教科書なんかはそろっていて勉強しました.しかしながら,世知辛い世の中になり,研究室でスペースを確保するには光熱水費などが課金されて,そんなにぜいたくに使えない状況になり,梅山さんを中心に大整理が行われました.

 

大量の本が廃棄されましたが,本を捨てるということにむちゃくちゃ抵抗があったので,結構たくさんの本を手元に救出したことを覚えています.今日取り上げた本もそうした大量の本のうちの1冊で,確率過程について割とちゃんと数学的な書き方がしてあって,かつ私レベルでも理解しやすく書かれている良書だと思います.

 

ページを開くと「オートマトン研 磯道」と書いてあり,裏表紙裏には図書室の貸出票のようなものもついていて時代を感じます.たぶん当時は図書はいったん図書室で購入するという形で,研究者はそこから借り受けているという形だったと思います.まあそれはそれで面倒で,いまのように文房具を買うように消耗品で買えてしまうのが楽だとは思うのですが,そのかわり本というものが全然大事にされず,今私がこうして記録している本たちもほとんどすべてが2年後くらいには廃棄されてしまうと思うと少し残念な気持ちになります.