toddler’s diary

以前は研究にあまり関係ない雑談・2023年4月から本を通じた自分の振り返りやってます

渡辺美智子,山口和範(編)「EMアルゴリズムと不完全データの諸問題」多賀出版 2000

情報処理学会の学会誌にEMアルゴリズム幾何学というタイトルで書いた解説が私の最初の解説記事になるかと思います.確か栗田さんから依頼をいただいた記憶があります.その後,結構たくさん解説記事を書かせていただきました.この本の中では村田さん,池田史朗さんがEMアルゴリズムの幾何についてしっかり書かれています.そのセクション名が「ニューラルネットワークとEM」となっていて,統計と機械学習の間の見えざる壁だったりを感じます.

 

EMアルゴリズムと言えば,音楽情報処理をやられている後藤真孝さんが電総研に入られてまもなく,私のところに来てくださって EMアルゴリズムについての議論をしました.さすがというか,瞬時に理解して,あっという間に音楽のピッチ抽出のためのプログラムを作って動かしていたのが印象的です.その後しばらくの間交流もとだえていましたが,最近の組織改編で同じ研究部門に属すことになりました.ただ,すでに機械学習をバリバリと実践できる若手の方々がたくさんいらっしゃるので,あまり私が口を挟める部分は少ないかなと思っています.

 

音で思い出すのは,産総研になって研究グループ長を任されて,ほとんど何事もなく過ごせましたが,数少ないトラブルのうち比較的深刻だったのは音のトラブルでした.複数人がいる居室だと,隣の人のたたくキーボードの音や,居室のパーティションで長々とディスカッションする声,あるいは,壁の薄い隣の研究室の話声などなど,状況はさまざまですが,グループ長として結構苦労しました.音というのは人によって感じ方もかなり違う主観的な要素が強いので,感情的なやりとりに発展しやすいと思います.基本的にはそのまま収まることはなくて,当事者同士部屋を分けたり移動してもらったりして物理的に解決するしかありませんでした.