toddler’s diary

以前は研究にあまり関係ない雑談・2023年4月から本を通じた自分の振り返りやってます

J.L.ジョンズ,A.M.フリン「移動ロボット」トッパン 1996

この本はRWCが始まって,事情通ロボットとかのプロジェクトの初期の頃に買った本だと思います.何度も書いているように手先が不器用なので,工作系のものとかハードウェア系はすべて苦手です.とはいえ,今この本を見てみると,基本的なところから試行錯誤を経てロボットを作るという感じなので,器用不器用関係なく,この手の工作には一段一段スキルを積み上げて初めてできるものだということがわかります.そうしたプロセスを見ずにいきなり一番上を見てあきらめてしまうのはよくない思考法だとは思います.なかなか好きじゃないと積み上げられない努力ではあると思いますが.

 

ちょうどこのころ Brooks のサブサンプションアーキテクチャという並列制御的なアプローチが流行して,この本にも載っています.ロボット業界はその後まったくフォローしていないので,こうした考え方がどうなったのかよくわかりません.

 

RWCは通産省の大きなプロジェクトで,今でも政府系の大きなプロジェクトというのはたくさん走っていますが,たいていのものは研究者にとって必ずしも幸せなものではありません.プロジェクトの進捗を報告する報告会みたいなのがやたらとあって,その報告会のための準備に忙殺されて,もともとの研究の中身はすかすかなんてことはざらにあります.プロジェクトの体裁は「(役人でも)見てわかりやすいもの」というのが主流で,学術的な価値がどれほどあるかは疑問です.最近の大型科研費とかでは,ちゃんとした専門家がアドバイザに入っていることで,学術的な価値をキープしようとしているのはいい傾向だと思いますが,そうでないプロジェクトもいっぱいあります.

 

最近協力者で入っている学術変革の「データ記述科学」は樋口先生と西浦先生というちゃんとした専門家が入っていて,単純な見かけを追求しない姿勢は感じられます.いまだに時代遅れな感じがするのは SIPNEDO, それからトップセールスと称して産総研理事長か誰かが大企業のトップと話して包括協定とかで進めているプロジェクトとかは,研究者とかは後付けで構成されたのでしょうから結構ぐだぐだになっている印象です.