カーネル本では正則化を入れることでリプレゼンタ定理などきれいな理論が成り立ちますが、正則化が微分作用素のとき(スプラインなど)はちょっと面倒なことになり、カーネル本では微妙にごまかしています。
その辺を調べていくうちに出会ったのがソボレフ空間で、本屋で見かけてよさそうなので買ってみました。ただ、スプラインとかは条件付き正定値とかで話が済むので(福水本にはちゃんと書いてあります)、ソボレフ空間のいろいろな話に踏み込む必要はとりあえずあまり関係ありませんでした。
ただしこの本は関数解析についてのいい教科書にもなっているので、知識があいまいな部分を補うにはよい本だと思います。
そもそもヒルベルト空間の話にしても、理解するだけであれば有限次元(あるいは無限でも可算)の内積空間の話でほとんど問題なくて、○○空間みたいな用語は一般向けの本としては読者を怖がらせるだけの効果しかないようにも思います。
数理科学という雑誌があって、私も解説記事や書評でごくたまに書かせていただくことがありますが、あれも一般向けの雑誌のはずなのに、著者の中は明らかに専門家向けにほとんど理解不能な記事を書く人もいて、まあそれはそれでぶっとんでいて面白いとは思うのですが、もう少しわかりやすくする配慮があってもいいかなと思うこともあります。