toddler’s diary

以前は研究にあまり関係ない雑談・2023年4月から本を通じた自分の振り返りやってます

J. Shawe-Taylor, Nello Cristianini "Kernel Methods for Pattern Analysis" Cambridge university press 2004

カーネル本を書くときに結構手本にしたのがこの本でした。この本は SVM をそれほど特別視しておらず、一般的な形でカーネルを導入しているのでカーネル法自体を理解するのによい本だと思います。

 

カーネル本は、私が当初思っていたよりもずっと高い評価をいただくことができました。福水さんの本とか見るとその緻密さみたいなのを感じて、ちょっとめげるのですが、逆に緻密すぎずゆるふわな感じが一般の読者層には合っていたのかなと思います。

 

岩波からは、カーネル本を英訳して出すという話もいただいていたのですが、今日取り上げたこの本とかすでに英語ではすごい本がいっぱい出ていたのでさすがに辞退させていただきました。世の中同じような本がいっぱいあって無駄だなあと思うことも多いので、ここでさらに1冊出すのにも抵抗がありました。まあ今覚えば、この本といい Scholkopf Smola 本といい、分厚くて重いので軽量版みたいな位置づけで出すのはありだったかもしれません。

 

そもそもカーネル法は福水さんとかがガチ勢としてどんどん先行されてましたし、私自身はカーネル法に一区切りつけて、情報幾何的次元圧縮とかその辺に興味がシフトしていたので、カーネル法とのつきあいはそこそこにしたいという気持ちもありました。とはいえ、結局のところカーネル本が有名になりすぎて、赤穂といえばカーネルの人みたいなイメージが本人の意思とは無関係についてしまったのは仕方のないところです。