toddler’s diary

以前は研究にあまり関係ない雑談・2023年4月から本を通じた自分の振り返りやってます

難波 誠「幾何学12章」日本評論社 2000

産総研との連携で梅山さんから受け継いで大阪大学数学科に年に1回集中講義したという話は以前にも書きました.肩書は教授でしたが,あくまでこれはお客さんとしての肩書で,数学ですごい仕事をしたから拝命されたというたぐいのものではありません.

 

すべての先生方と交流するということはなくて,担当でお世話をしてくださった何名かの先生方と懇親するくらいでした.この本の著者の難波先生とは面識をもつ機会はありませんでした.もしかすると入れ違いで退官されたタイミングだったのかもしれません.

 

たくさんの著書を書かれているので本の世界では見慣れたお名前です.なかでもこの本はすごくわかりやすく書かれていて,逆に最初パラパラと見た時にほぼ知っている内容が多かったのであまりちゃんと読み込まずに来ました.

 

ただ,今あらためて読み返すと,全300ページくらいある本のうち,100ページ以上が問題の解答に充てられています.これは通常の教科書としても破格のページ数で,しかもこれは教科書というよりは読み物的な本なのでなおさらその量は突出しています.問題とは言っても,もともと大学でのレポート課題として出したもので,例えば「問題1.これについて調べ,レポートせよ」という具合です.学生の優れたレポートを体裁を整えて載せられているのも難波先生の教育者としての感じがうかがえます.

 

より難しい内容もこのくらいのレベルで書かれているとよいなと思いますが,この本の一部は数学セミナーで,確かに数学セミナーは難易度をかなり工夫されているように思います.自分は書いたことないのでわかりませんが,数理科学のように自分勝手に好きなことを書くのとは違う文化なのだと思います.