toddler’s diary

以前は研究にあまり関係ない雑談・2023年4月から本を通じた自分の振り返りやってます

高橋秀俊「情報科学の歩み」岩波書店 1983

大学に入って,計算機関係のことに興味はあったものの知識が全然なかったときに本屋で岩波講座情報科学のシリーズを見つけて最初の方に買った本です.以前もこのシリーズの何かを取り上げた気がしますが,この本は計算機界のレジェンドである高橋先生の著作で私が大学入ってほどなく2年ほどでお亡くなりになられています.

 

この本は計算機の歴史がメインですが,最後の方に情報の物理という章があって興味深いです.一つはトランジスタベースの素子の未来について書かれていて,現状はそこに全く揺らぎはなく,ジョセフソン素子のように消えてしまったものや,今後まだ未知数の生物系素子なんかにも触れられています.一方,情報のエントロピーと物理のエントロピーについては謎論理が展開されていて,この後数年間でこのあたりの理解が一気に広まったことを感じさせます.

 

私はと言えば,進振りでめでたく計数に進学したのですが,以前にも少し書いたように日吉から文京区小石川に引っ越しました.ちょうど今の東京ドーム(当時は後楽園球場)の真北に5分ほど行ったところにある,木造長屋風アパートの2階の部屋でした.1階の入り口ドアを入ると半畳ほどの土間があって,そこから共通の階段を上っていくと確か二部屋あって,私の部屋はその奥でした.4畳の台所スペースと6畳の畳部屋で,トイレがあって,とても古い部屋でしたが広さは十分ありました.風呂はなかったので銭湯に行っていましたが,当時近くにあった2軒の銭湯はどちらもすでになくなっているようです.下宿のまわりには当時は小さな印刷所が何軒もあって輪転機の音が聞こえてくるような風情がありました.

 

その下宿に移ってほどなくスポ愛のバドパートの同期でクリスマスパーティだか忘年会を1度だけやりました.今考えるとあんな古い部屋に女子も含めてみんなを呼んだのは恥ずかしくなります.ただ結構楽しくて,騒いでいたら下の家の人から苦情が来た記憶がかすかにあります.日吉に住んでいたころは台所もなかったので,かなり自炊もやりました.ガスをつけっぱなしにしてしばらく忘れていたり,今思うと冷や汗かくようなこともありましたが,基本的に大事に至るようなこともなく愛着のある下宿でした.

 

家賃は最初 35000 円で,途中から 36000 にあがった気がしますが,当時としても格安でした.古いけどまあ学生には十分という感じでした.家賃は毎月裏手に住んでいる大家さんのところに払いに行きました.それほど親しくなる感じにはなりませんでしたがお世話になりました.そんな下宿も私が修士を出てつくばに移ってほどなくマンションに建て替えられていました.バブルで地上げとかそういう言葉がとびかう時代でした.