toddler’s diary

以前は研究にあまり関係ない雑談・2023年4月から本を通じた自分の振り返りやってます

S. ウィギンス「非線形力学系のカオス (上下)」 シュプリンガージャパン東京 2000

学生時代に複雑系というのが流行っていましたが、私はあまりその流行りには乗り切れませんでした。計数の同級生がマンデルブロー集合のデモプログラムを作って見せてくれたりしましたが、中身は全然わかっていませんでした。国家公務員試験の教養問題にも単純な場合のフラクタル次元を答えさせる問題がありましたが、意味が分かりませんでした。

 

甘利先生が60歳で計数を退官されて合原先生になりましたが、当初は合原先生とお会いすることはあまりありませんでした。たぶんちゃんとお会いしたのは以前書いた論文博士の相談にのっていただいた頃からでした。合原先生は ERATO にはじまり巨大なプロジェクトを回してきた方ですが、所属研究者には自由に研究させて、研究とは直接関係のない政治的な対応はおひとりで一手に引き受けられているように思います。このあたりは甘利先生とも共通するところです。

 

その後産総研の外部評価委員になっていただいたり、末谷さんのカオス時系列のカーネル正準相関分析などで間接的に関わったりする機会がありました。直接プロジェクトに関わることはありませんでしたが、私のようなもののこともよく覚えてくださっていてありがたいです。近年では私と同じグループで合原先生のところで学位を取られた城さんがらみでお会いしました。

 

まあそんな中、カオス関係の本を買ってみたわけですが、ほとんど読んではいません。非線形力学系は線形とは全く違った方法論や目的をもっているので、おいそれと習得するのは難しいです。最近私はつくづく線形の人間だなと思います。基本的に非線形を線形に帰着させるという観点で、情報幾何やカーネル法、混合分布の推定など全部そうです。でもせっかく本もあるので非線形力学系の考え方を少しずつでも習得していけたらなと思います。