toddler’s diary

以前は研究にあまり関係ない雑談・2023年4月から本を通じた自分の振り返りやってます

J.P.クライン,M.L.メシュベルガー「生存時間解析」シュプリンガージャパン 2009

私の持っている版はシュプリンガージャパン発行ですが、今はビショップ本と同じく丸善出版から出ています。出版業界というのも生き残りをかけて大変な状況だと思います。

 

この本は、東大病院と臨床データ解析を試みた時に買った本です。それまでまともに生存時間解析を勉強してこなかったため、基礎的な知識を仕入れるためにこの本で勉強しました。

 

医療とかのデータ解析はいろいろ携わらせていただきましたが、どれも非常に難しいという印象です。まず、お医者さんは忙しすぎてなかなか研究ミーティングが開けないというのが問題です。応用課題を行う際には、ドメイン側とデータ解析側が人間関係を含めてお互いの理解を深めないと、バックグラウンドや基本的な用語、問題意識や価値観といったものがすれちがってプロジェクトそのものが進行できません。これはほかの分野でも起きがちなのが、特に仮説もなくデータさえ提供すればなんとかできるという意識です。

 

それから医学業界は白い巨塔ではないですが、大先生を祭り上げるというような文化が透けて見えて、そこもなんだか近づきたくない雰囲気を醸し出しています。

 

あとは、臨床データそのものの大変さです。患者さんは勝手に来るのをやめたりしますし、データそのものもなかなか整備されておらず、もともと膨大なデータだったのに、前処理してクリーニングすると使えるデータがそんなにないということも起きました。

 

最初は強化学習で医療AIみたいなことを試みたのですが、データ不足や、そもそもお医者さんはそんなの求めてないという感じだったりで、なかなか苦戦しました。それ以降、医療健康関係のデータ解析の話が来るとかなり警戒するようになってしまいました。