toddler’s diary

以前は研究にあまり関係ない雑談・2023年4月から本を通じた自分の振り返りやってます

永田ゆかり「データ視覚化のデザイン」SBクリエイティブ 2020

共同研究でいろいろな実データを扱う話をする機会が増えましたが,最初に圧倒的に感じるのは,データの可視化が足りてないなということです.csv ファイルでデータをそろえたことに満足して,とりあえずニューラルネットでやるみたいなのを事前にやっているというような話が多いです.

 

もちろんそれが今風なのかもしれませんが,私のところにもちこまれたからには,データの可視化を一生懸命やるのがスタートになります.可視化する最大の目的は,一般的な用語ではないかもしれませんがデータを「身体化」することだと思っています.これも今の流れに逆行しているかもしれませんが,どんなデータかを体の中にしみこませないと,適切なデータ処理はできないと思います.

 

よくあるプロジェクト体制として,データを取っている人,データを分析する人が別々にいて,前者の人はあえて可視化しなくてもどんなデータなのかはある程度はわかっていると思います.身体化が必要なのは後者の人で,データそのものを見るという目的に加えて,データを取っている人と可視化された結果をもとに議論することで,背後にある物理なども理解することでモデルを作る際にも役に立つと思います.

 

とはいっても,自分自身それほど可視化について詳しいわけではないので,とりあえず軽そうなこの本を買ってみました.実は上に書いたような探索的データ解析において役に立つ本ではなくて,プレゼン資料などで相手に効果的にデータの意味を伝えるための技術が中心の内容です.もちろん両者が両立するところもあるので,参考になることはたくさんあります.

 

まあこの手の本は一度読んですぐに身につくスキルではないので,たまに忘れたころに読んで自分の過去の可視化を反省するのに使う感じでしょうか.