toddler’s diary

以前は研究にあまり関係ない雑談・2023年4月から本を通じた自分の振り返りやってます

Brendan J. Frey, "Graphical models for machine learning and digital communication". MIT press 1998

RWCも佳境で、樺島&フレンズとかも始まったころ、本村さんを中心としてベイジアンネットワークが流行り始めていました。本村さんとかはのめりこんだ感じでしたが、私は例によってスロースターターで、まあそんなのもあるのかぐらいのとらえ方でした。

 

たぶん一番最初に読んだ教科書がこの Frey の本で、どちらかというと統計物理系の人がはじめていた符号化の話に寄った話でした。グラフィカルモデルは、この辺りの符号化系(統計物理)の人たちと、ベイジアンネットワーク系、あとは統計学由来の宮川先生がやられているような因果推論に近いようなあたりの3つぐらいが微妙にセパレートしている感じがします。あと、アルゴリズムも統計物理系の人たちは平均場近似などで解析していく感じで、統計系の人たちはMCMCという感じで、目的にもよると思いますが好みが分かれていた気がします。

 

私はよく言えば常に第3者的な傍観者、悪く言えば当事者にならない逃避的な立場で見ていて、まあこういうのは無理にいっしょくたにしない方が研究も進むしいいよなと思っていました。ただし、プロジェクトとしては SMAPIP なんかの統計物理中心のところに本村さんも入っていたりしたので融合はそれなりに考えてはいたのかもしれません。結果としてはあまり融合できていないと思いますが、これも無理に融合する必要はないかなという感じです。

 

統計物理でレプリカ法とかでゴリゴリといろいろな性質が明らかになっていくのは爽快感がありますし、一方で、統計学や実応用でベイジアンネットワークや階層ベイズモデルなんかが役に立つのも目にしています。これらを無理やりくっつけようとすると結局中途半端なものになってしまうわけです。