最近はそうでもない気もしますが、この本が出版されたころはプレゼンの仕方についての情報が SNS なんかでもたくさん出回っていました。私もこの本を読んで、なんかデザインがかっこいいプレゼンを作ろうとがんばろうとしたことがあります。
でも結局あまりセンスがなかったのと、必要な情報さえちゃんと載っていれば配置とかのプレゼンの形式というのはあまり重要ではないという価値観をもっているので、この本がすごく参考になったということはありませんでした。人間は見た目が9割というのも大嫌いで、髪型とか服装とかほとんどどうでもよいかなと思ってしまいます。逆に自分は、見た目はみすぼらしいのに中身はすごいという人間になることを目指している節すらあります。
ちょっとプレゼンの話から外れてしまいましたが、学生さんたちのプレゼンを見るときでも、形式美というよりは必要な情報が漏れなく含まれているかどうかという判断をします。プレゼンに時間をかけるならもっと中身をつめてほしいと思うことも多いです。企業との打ち合わせとかでも、私にとっては無駄に素敵なプレゼン資料を作ってこられることが多いのですが、むしろ jupyter notebook そのものむき出しで見たいという感じです。
ただ、企業が宣伝のためにプレゼンするとか、あるいはなんとか省の役人に説明するのにプレゼンするのとか、私とは無縁な世界では違ったロジックが働いているんだと思います。商品プレゼンなら Steve Jobs のような感じがいいんでしょうし、役人相手だとごちゃごちゃいっぱい無意味な情報詰め込んでそれっぽく見せる(経験がないのであまり言語化できていません)というのがありがたがられるように思います。
一方で、そもそもデザインとか自体は好きなので、自分に才能はなくても、プレゼンアートを鑑賞するのは研究者とは離れたところでは興味があります。これは、研究者としての自分と一般人としての自分を明確に分けているという私の性格にも関係しているのですが、それについてはまたの機会に書こうと思います。