toddler’s diary

以前は研究にあまり関係ない雑談・2023年4月から本を通じた自分の振り返りやってます

S.マックレーン「圏論の基礎」丸善出版 2012

同僚が圏論を用いた認知科学という研究をしていたので、圏論という言葉や雰囲気はかなり前から知っていました。いろいろ見た目が違う対象を人間が同じように認識できるというのを圏論という道具を使って調べるという話ですが、圏論に対する知識が浅いこともあって、本当の価値はたぶんあまり理解できていません。ただ、いろんな分野で圏論というキーワードが重要なものとして認知されているので、そのイロハぐらいは理解しておきたいと思ってこの本を買いました。

 

圏論というのは集合論とか群論とかを抽象化した概念だと思いますが、抽象化すればするほど個別の性質が薄れていくという心配があります。どの部分が共通化できて、どの部分が共通化できないかというのは数学的には面白いし重要だと思いますが、そこから新たに何かを生み出すということは難しいというのは偏見でしょうか。

 

レベルは全然違いますが、情報幾何学もある意味いろいろなものを抽象化している概念です。そこから双対平坦性に関連した(拡張)ピタゴラスの定理というすごく強力な武器が出てきて、個々に見ていたのではわからない視点が生まれました(平坦性だけ言うと情報幾何学のプロの人から怒られそうですが)。それでも、情報幾何は後付けの説明にしか使われないという批判は一定数あって、ある程度は当たっている面もあります。圏論では、うまい抽象化をすることで強力な定理とかが出てくるといいなと思いながらパラパラと本を眺めています。

 

Haskell というプログラミング言語とも絡みがあるようなので、そのあたりからも少しずつ調べてみようと思っています。ただし自分の研究でここまでの抽象性が必要とされることはなさそうにも思います。