toddler’s diary

以前は研究にあまり関係ない雑談・2023年4月から本を通じた自分の振り返りやってます

木村資生「分子進化の中立説」紀伊国屋書店 1986

昔 GA とかの輪読をしていて気になったのは、実際の生物の進化がどうなっているかということで、例えばそういうものが計算理論的にも有効であれば取り入れてみようと思うわけです。とりあえずそのあたりの有名本であるこの本を買ってみました。

 

結論から言ってしまえば、そういった目的でこの本を読むのは適していません。この本は中立説の提唱者である木村先生が当事者として、対抗するいろいろな説に対して主張するという体であって、体系的に集団遺伝学の知識を教科書として書いているわけではありません。そもそも淘汰説vs中立説というのが、思ったよりも複雑な構図でこの本を読んでも対立軸がどこにあるのか結局よくわかりませんでした。というよりも対立自身に興味はないというのが正しいでしょうか。

 

進化論のような人間存在の根幹にかかわるような話は、有象無象の人たちがさまざまな仮説を立てては争うという構図になりやすいように思います。量子論とか、脳科学とかも素人でも興味を持ちやすいということもあるかもしれません。

 

なお、この本は日本語の本に見えて実は英語版の翻訳という本です。英語のロジックで組み立てられているので論理的に読みやすいとか、日本語としてはやや不自然なところがあるかとか、そんな感じでもちょっと見てみましたがそれについては正直よくわかりません。ただし、数式が割と使われていて、その部分については私にとってはありがたかったです。