toddler’s diary

以前は研究にあまり関係ない雑談・2023年4月から本を通じた自分の振り返りやってます

ファン・デル・ヴェルデン「現代代数学1~3」東京図書 1967

計数で代数数理工学を勉強していた時に買った本です。

もはや半世紀以上経っている本なので、「現代」風ではないかもしれませんが、今でも立派に教科書として成立するのが数学という分野の確固としたところだと思います。

 

代数の入口である、群・環・体の基本的な部分は昔からなじんでいる対象と結びつけやすいのでわかりやすいのですが、正規部分群とかイデアルとか半群といったいろんな代数のバリエーションはなかなか使ってみないと覚えられず、渡辺澄夫さんが代数幾何で論文書かれはじめて勉強しなおしたり、大津さんの不変特徴抽出理論とかを理解するのに、結構後々までこの本のお世話になりました。

 

この本の最後の方はガロア理論について書かれています。

計数の特論的な講義で、数学科の先生が来て授業をされるものがあって、どなただったか忘れてしまいましたが、一番最初にいくつかトピックを挙げてくださって、学生の投票でガロア理論の講義をしてくださいました。

ただし、学部生にとってこのガチ数学の授業は全く理解できませんでした。

一つ一つの定義や定理はわかっても、それがどうストーリーとして結びついていくかというのが見えず迷子になってしまいました。

数学科というのは、動機付けとかそういうものを一切廃したストイックな講義をするんだなということを思い知らされた経験でした。

 

代数学は結局自分の研究としては全然扱わなかったので、なんとなく苦手意識のある分野でした。後から独立成分分析なんかでリー群とか幾何学と結びついた代数については勉強しましたが、その頃にはもうこのファンデルヴェルデン本はあまり参照しなくなっていました。