toddler’s diary

以前は研究にあまり関係ない雑談・2023年4月から本を通じた自分の振り返りやってます

アタナシアス・パポリス「工学のための応用確率論」東海大学出版会 1970

今でもまだ多くの人は高校時代まであまり本格的に触れることの少ない確率論ですが,私もちゃんとは勉強していませんでした.教養でも数学と言えば線形代数微分積分ということで,確率論というのが数学の中でどう位置づけられるのかよくわかっていませんでした.

 

最初にちゃんと確率の勉強をしたのは計数に入ってから確率数理工学の講義を受けた時で,担当は伏見正則先生でした.伏見先生にはその後特にプライベートなところで非常にお世話になることになりました.

 

さて,そのときに参考にした本がパポリス本で,当時はハードカバーで基礎編と確率過程編の2冊からなっていました.通常確率論を勉強する王道の教科書はフェラーとかで,どうしてこの本を選んだかという経緯は忘れてしまいましたが,とにかく非常に読みやすくて,私はかなり長い間確率について調べるときはこの本を参照していました.なぜ読みやすいのかという点は,うまく言葉にできませんが,序文にも書かれているように,学ぶ学生の前提知識をもとに,習得すべき知識がちゃんと身につくようにしっかりと考えられていると思います.

 

基礎編でよく参照したのは確率変数の変換のところでかなりのページ数を割いて詳しく説明されています.確率過程についてはあまりちゃんと読んでいなくて,この機にぱらぱらと読んでみましたが,調和解析やいろいろ重要な確率過程が詳しく書かれているんだなと思いました.

 

なお,この本は 1992 年に第2版がソフトカバーの3部作として翻訳本も出て,今手に入るのはそちらです.私も出版されてまもなく購入して,主にそちらを参照していました.