toddler’s diary

以前は研究にあまり関係ない雑談・2023年4月から本を通じた自分の振り返りやってます

Andrzej Cichocki, Rafal Zdunek, Anh Huy Phan, Shun-ichi Amari, "Nonnegative Matrix and Tensor Factorizations", John Wiley & Sons, 2009

私の最近の研究の多くは,早稲田の村田さんや統数研の日野さん,村田研の学生さんたちといっしょにやらせていただいています.村田さんに気を使ってもらって「赤穂会」という名前をつけていただいて,コロナ前までは月に1回程度朝から夕方までがっつり議論する集まりをやっていました.

 

いろいろなトピックをやらせていただきましたが,最後の方は非負値行列分解(NMF)関連の研究をやらせてもらうことが多かったです.この本は ICA で有名な Cichocki 先生らの著書で,一応甘利先生も著者に入っていますが,たぶん甘利先生が直接書かれた部分は少ないのではないかと思います.洋書にありがちですが,非常に分量が多くて,通して読む気は全くしませんが,NMF をはじめ,テンソル分解なんかについてもいろいろ書かれていて,必要なところをピックアップして調べる辞書的な本です.

 

NMF は線形モデルなので理論的な取り扱いが易しいことが大きなメリットです.私が2000年前後から始めていた指数分布族パラメータの次元圧縮の話とも近い話で,情報幾何学的な観点でアルゴリズムの研究なんかもやりました.NMFはいわゆる特異モデルなので,モデル選択なんかも一般には難しい問題です.ベースは村田さんのアイディアにのっかっていることが多くて,自分の発想で進めた仕事はあまり多くありません.

 

応用研究では,日野さんのつてで筑波大の睡眠研究の権威である柳沢先生のラボと共同研究させていただきました.柳沢先生とは一度だけご挨拶をしましたが,すごく存在感の強い方で,緊張してしどろもどろになってしまいました.直接の研究は柳沢研にいらっしゃった上田さんが睡眠研究の専門家としていろいろアドバイスをしてくださいました.

 

上田さんや早稲田の学生さんとは沖縄の研究会にご一緒しました.ついでに観光もしたり飲み会したりして交流を深められました.その後上田さんはいませんでしたが,早稲田の学生さんとミュンヘンICANN に行き,そこでも観光や飲み会で忘れられない思い出となりました.それが 2019  年のことで,そこからコロナに突入してしまいました.

 

早稲田の学生さんは産総研の近くに御実家があって,ごきょうだいの方々とも多少交流があり,直接お会いすることは少なかったのですが,コロナ下でもリモートでオンラインゲームを一緒にやらせていただいたり,その中でチャットしたりして,滅入りがちな状況でとても救いになっていました.最近ではコロナも収束してみなさん忙しくなってしまい交流は絶えてしまいましたが,感謝の気持ちでいっぱいです.