toddler’s diary

以前は研究にあまり関係ない雑談・2023年4月から本を通じた自分の振り返りやってます

西森秀稔「スピングラス理論と情報統計力学」岩波書店 1999

西森先生は情報分野の学会にそれほど出てこられる方ではなく、年齢も1世代上の方なので、直接の面識はあまりないのですが、樺島さんらを通じて知っていました。この本にも出てきますが、 スピングラスモデルの解析で出てくる相図の曲線に西森ラインという個人名が出てくるような先生です。ということで、レプリカ法の計算とかを勉強しようと思って買いましたが、実は私が買おうとしたときは絶版で、手元にあるのは2016年にオンデマンド版として出版されたものです。

 

樺島さんから聞いた話だと、レプリカ法には段級位があるらしく、当然樺島さんは高段者なのですが、西森先生がどこに位置づけられているのかは忘れてしまいました。私はまあ初心者で計算追える程度なので20級くらいでしょうか。

 

さて、最近ちょっと聞かなくなってしまいましたが、西森先生と言えば量子アニーリングで世の中的には一時期バズっていて、講演会などでお話を聞くことも多かったと思います。私の印象では量子アニーリングのアイディアは比較的シンプルで、むしろスピングラスの解析の方がずっと高尚なのだと思いますが、私のカーネル正準相関分析と同じで、自分の思ってもいないものが注目されたりするということかもしれません(レベルが全然違いますが)。

 

量子コンピュータとか、最近政府内では流行っているらしいです。実用化とかそういう観点ではまだまだということがはっきりしているようにも思いますが、役所の人たちはすぐに実用化とか言い出すのでそこが心配です。まだかなり基礎的な研究を積み重ねる必要があると思うので、優秀な研究者を政府の規模だけはでかい研究にあまりまきこまないであげてもらいたいです。私も産総研内でまきこまれそうになりましたがなんとか逃れられたようです。