toddler’s diary

以前は研究にあまり関係ない雑談・2023年4月から本を通じた自分の振り返りやってます

中村滋「フィボナッチ数の小宇宙」 日本評論社 2002

フィボナッチ数は高校でも数列の基本として習いますし、機械学習だと動的計画法の導入で少し使ったりします。というわけで身近な題材ですが、これもタイトルにつられて研究費の余りで購入した本です。

 

話は思っていたより多岐にわたり、数論における未解決問題なども載っています。そもそも未解決問題というのが設定できるのが数学のよい点の一つで、統計学とか機械学習で未解決問題というのはどう定義されるのかがいまいち想像つきません。多端子情報理論とかあるとは思いますが、あれもいわゆる数学的な未解決問題なのかどうかはよくわかりません。ただ、甘利先生とかを見ていると、どんな分野の問題点でも未解決問題を設定する力にすごく秀でているように思います。そのためにはどこまでは解かれていてどこまでは解かれていないかという境界線の認識が必須だと思いますが、そこのセンサは自分には弱いなと思います。

 

修論で計算した3層ニューラルネットの記憶容量の上下限についても、学生の自分には新しいつもりでしたが、全然違う組み合わせ的な考え方で求めたよりよいバウンドがあることがわかってちょっとがっかりしたことがあります。まあスパースモデリングとか別の観点で意味はあったと思いますが、真に新しいことをやるというのも能力が問われるのかなと思います。自分は最初に躓いて以来、そこはあまり気にせずに面白いと思うことをやってきたつもりです。