toddler’s diary

以前は研究にあまり関係ない雑談・2023年4月から本を通じた自分の振り返りやってます

浦川肇「変分法と調和写像」裳華房 1990

変分法と最初に出会ったのは物理の講義でオイラーラグランジュ方程式とかで出てきた時だと思います.まあなんかわかったようなわからないような未消化の状態でしばらく忘れていました.電総研に入って,大津さんの仕事とかを勉強していくうちに,最適非線形写像とかを変分法で解いたり,最大エントロピー原理でガウス分布が平均・分散固定の下で最大エントロピーになるというのを読んで,むしろこんな単純なんだという気持ちになりました.むしろ変分法の講義はこっちから始めた方がよいのではと思いました.

 

この本はそうした勉強をひととおりやってから買った本で,想像通り単純な変分問題ではなくいきなり場の理論とかの話になっておいてきぼりを食います.途中からはモース理論とかフィンスラー多様体の話になってぶっとんでいきます.

 

この辺の話に出てくるスメールですが,産総研になったばかりの頃,日本に来るついでに招待講演をしてもらいました.西森さんのつてだったと思います.実は私は別の出張でそのとき不在にしてしまいましたが,合原先生が来られたりと盛況だったようです.私の手元にはそのときの講演のCD-ROMも残っています.研究所全体がまだいわゆるちゃんと研究をやろうという雰囲気が強かった時代でした.今でも個々の研究者は研究をしっかりやろうとしていますが,経営陣は企業案件に注力し過ぎて基礎研究者のことをないがしろにしているなと思います.