たくさん本があると,すでに持っていることを忘れてまた買ってしまうということがときどきあります.誰かに貸してやっぱり手元にも欲しい時に意図的に買うこともありますが,そういう本は稀です.この本もなぜか2冊あり,しかも結局ほとんど読んでいないというもったいないことになっています.
GAの理論解析はなかなか面倒なところもあるのですが,genetic drift という現象は割とわかりやすくて,田中さんや丹羽さん,それにたぶん麻生さんも GMD 滞在中に少しやられていたのではないかと思います.
遺伝は進化と関係が深くて,進化はなぜか怪しげな諸説があるのが特徴的です.○○進化論というような本がたくさんあって,結局どこが本質なのかいまいちわからないという状況です.進化というマジックワードに引き寄せられてしまう人たちがたくさんいるのでしょう.かくいう私もGAが流行っていた時はその口だったと思いますが.
一方,この本は最後の方に進化に触れているとはいえ,数理的に問題を整理して書いてあるので,怪しげ感は薄くて説得性があります.それなのになんでちゃんと読んでいないかというと,これを買った頃にはすでにGAに対する興味がだいぶ薄らいでしまったからだと思います.