toddler’s diary

以前は研究にあまり関係ない雑談・2023年4月から本を通じた自分の振り返りやってます

ジェフリー・S. シモノフ「平滑化とノンパラメトリック回帰への招待」 農林統計協会 1999  

電総研に入ったころにノンパラメトリック密度推定の話に興味を持ちましたが、その頃はあまり日本語の教科書で詳しく書いてある本がありませんでした(たぶんよく知らなかっただけだと思いますが)。そんな中、翻訳ですがばっちりとそれについて詳しく書いてある本がこの本でした。

 

ただし、この本が出たころにはちょっとそのテーマからは離れていたので、とりあえず買っておくかというような感じだったかもしれません。ただ、その頃結構一生懸命やっていた独立成分分析(ICA)では、確率分布のモデル化が必要で、グラムシャリエ展開のように正規分布の周りで漸近展開するか、キュムラントのような非ガウス性基準を使うかが主流でしたが、ノンパラメトリックな推定でやったらどうなるかなというのは少し考えた記憶があります。

 

この本は農林統計学会というところから出ていますが、統計学はさすがに古くて実学的なところがあって、いろいろな分野に入り込んでいる気がします。ただし、伝統の強いところにありがちな傾向として、新しい機械学習みたいな手法が広まっているかというとそうでもない感じがします。

 

統数研に入って、日本には統計学科が少ないという話を知りました。ただ、ひとくちに統計学といってもさまざまなので、そこは整理する必要がある気がします。あまり考えはまとまっていませんが、一つは数理統計学の発展形としての学習理論などを含めた方向性を研究するアカデミアを拡大する方向性はしっかりやる必要があると思います。もう一つは応用統計というかリテラシーとしてのデータサイエンスで、こちらは学科というよりも教養の微分積分線形代数と並ぶ科目として整備するような話ではないかと思います。