toddler’s diary

以前は研究にあまり関係ない雑談・2023年4月から本を通じた自分の振り返りやってます

田中 章詞, 富谷 昭夫, 橋本 幸士 「ディープラーニングと物理学」講談社 2019

ディープラーニングの教科書を書くのは難しいです。どんどんいろいろな技術が提案されて、昨日有効だったものが明日はもう忘れ去られているということもよくあります。あとは、基本的によく使われているディープラーニングでは、アーキテクチャエンジニアリングという側面があり、そのあたりは理学というよりもより工学に近くなってしまうかなと思います。

 

私は昔の篠本さんや樺島さんのような物理学的なニューラルネットワークの本を想像して買ってみたのですが、想像に反してどちらかというと万人向けの普通の教科書という感じでした。しかし、その分、ニューラルネットワークに関するいろいろな知識の蓄積が薄くなってしまいます。物理学の強みは、通常の厳密な数学を超越したすごい近似方法とかだと私自身は思っているので、それがあまり感じられないのは残念です。こういう感想は、私が修士の頃から打ちのめされた物理学の人たちに対するトラウマから生じている偏った考えなのかもしれません。

 

著者の方々は、物理学とニューラルネットに関して精力的に研究されている方々なので、今後この本の続編などでよりマニアックな本が出るのを期待したいと思います。