toddler’s diary

以前は研究にあまり関係ない雑談・2023年4月から本を通じた自分の振り返りやってます

J.M.チェンバース,T.J.ヘイスティ 編 (柴田里程 訳) 「Sと統計モデル データ科学の新しい波」共立出版 1994

プログラミング言語の R はもともと S という AT&T で開発された言語だというのは有名な事実だと思いますが,私が最初に S に触れたのは確か計数の演習か何かで当時栗木先生だったかが紹介してくださったときでした.ただし,まだその時は本格的に使うということはなくて,その後,電総研に入って Sun のワークステーションにインストールされていて徐々に使い始めました.S は数理システムから Splus という名前で販売されていて,Splus を買うとこの本もセットでついてきたような記憶があります.

 

Sの本というのは当時すごく少なくて,この本が出て勉強するようになって私のメインの言語になっていったように思います.まだオブジェクト指向的な言語仕様は S3 で,S4 はまだ出ていませんでしたが,1990 年代の終わりの方に混合分布の推定アルゴリズムを S3 で書いた時も,この本がすごく役に立ちました.ただし,この著者の人たちが統計業界でどれくらいすごい人たちなのかということは全く分かっていませんでした.

 

この本は統計学の教科書としてもよく書けていて,GAMや決定木なんかもこの本で初めて知りました.なお,訳者の柴田先生は IBIS で一度だけ講演をお聞きしましたが,なかなか個性的な方だった記憶があります.

 

さて,時代は下って 21世紀にはいると,S から R へと移行していったわけですが,そこで筑波大の学生さんたちを中心として tsukuba.R という勉強会が開かれているというのを twitter で見かけました.なかなか参加することはできませんでしたが,中心メンバーの一人である y_benjo さんと twitter でつながっているうちに,2010年に産総研に来ていただいて tsukuba.R を開催することができました.リアルで y_benjo さんと会ったのはそのときが最初でした.当時αツイッタラーであった y_benjo さんほか若い方々と交流させてもらってとても光栄でした. さらにその後,以前に書いた YETI へとつながっていくことになりました.また,2014 年に y_benjo さんに依頼していただき,声優統計の序文を書かせていただくことができました.