toddler’s diary

以前は研究にあまり関係ない雑談・2023年4月から本を通じた自分の振り返りやってます

Aapo Hyvarinen "Independent Component Analysis", John Wiley & Sons 2001

2000 年頃は流行りに乗って独立成分分析(ICA)に興味をもってやっていました.

 

すでに甘利先生や村田さん池田思朗さんなんかが本質的な仕事をいろいろやられていて,自分がやれることはあまり残っていなかったのですが,西森さんとシュティーフェル多様体やフラッグ多様体なんかの測地線アルゴリズムの話を少しやったのと,梅山さんとかからヒントをもらってやったマルチモーダルICAとかをやりました.

 

こうして書いてみるとほとんど人の話にのっかっているだけのような気がします.実はそれとは別にやっていたカーネル正準相関分析が独立性の規準と関係していて,Francis Bach とかがカーネルICAとして発展させ,その後福水さんたちの大理論に結び付いていきます.当時の私にはとてもそこまで頭が回りませんでした.福水さんが Michael Jordan のいる UCB に滞在していたころ遊びに行って,Jordan をはじめ,Bach や David Blei, Gert Lanckriet なんかと話をさせてもらって,とんでもない人たちがいるということを感じた思い出があります.

 

さて,Hyvarinen も ICA 研究者の旗手として名を馳せており,最初にどこで知り合ったのか忘れましたが,奈良であった ICA の国際会議あたりでしょうか.直接は西森さんが誘ったのだと思いますが,電総研にも来てもらって講演してもらいました.その後もちょくちょく会う機会があり,最近では Information Geometry の特集号の editor を村田さんから任されたときに Hyvarinen や Klaus Muller とかとご一緒しました.

 

ICAが流行っていたのは,ちょうど樺島&フレンズの会合とかもやっていた時期で,このころから村田さんと親しくさせていただいて今に至っています.村田さんがらみの話は今後も何度も出てくるでしょう.

 

さて,ICA についてはこの Hyvarinen の本が決定版ですが,なんといっても分厚すぎます.日本語だと村田さんの書いた本が本質を理解するには最適だと思います(これもいつか取り上げます). ICA 自体はいろいろ応用が進みましたが,論文を通すのがなかなか難しい(評価基準によって出てくるものが結構ころころ変わったりするし)ということでみなさん苦労されているようです.