toddler’s diary

以前は研究にあまり関係ない雑談・2023年4月から本を通じた自分の振り返りやってます

外山 敬介, 杉江 昇(編)「脳と計算論」朝倉書店 1997

科研費の重点領域で脳科学関係がずっと続いていて、私も初期のころ蓼科での学会に参加して外山先生をはじめ甘利先生とつながりのある脳科学の先生方を知りました。この本は、スパースモデリング・コバリアンス仮説・順逆仮説という3つの仮説でまとめられています。

 

スパースモデリングがらみでは村田さん、甘利先生が執筆されていますが、実のところは汎化の話を書いていて、見返すと double descent について書かれています。まだそのころはそういう言い方はしませんでしたが。思えば私のD論の話もある意味 double desscent というか、分岐のたびに汎か誤差の非単調性が起きるという話でした。

 

あとは修士の1年か2年上の中野研出身の森田さんの非単調ニューロンの話が出てきます。森田さんの海馬のモデルの修論は私がスパースモデリング修論書くときに参考にした覚えがあります。非単調ニューロンはおそらくカオスのような振る舞いをすることで記憶として面白いふるまいをするということだと思います。

 

ただ、一般にモデルの話やコバリアンス仮説、順逆仮説はあまり面白い数理の話がないように思います。モデルは現実の脳を説明するという制約を受けるせいで、なんでもありの数理のような自由度がなくてちょっと自分には合わないなという感じでした。そもそもモデルの人は数理の人からはそのような目で見られ、脳科学の人からはリアリティを追及されて、かなりメンタルが強くないとやっていけないと感じました。