toddler’s diary

以前は研究にあまり関係ない雑談・2023年4月から本を通じた自分の振り返りやってます

和達三樹「物理のための数学」岩波書店 1983

この本は学部時代に物理数学を勉強するのに非常に役立ちました.

教科書に指定されたわけではなく,誰かにお勧めされた記憶もなく,たぶん本屋に並んでいてよさそうと思って自分で選んで買ったように記憶しています.

最近では類書も多く,これよりよい本があるのかもしれませんが,今見ても初学者にとって非常によい分量やレベル感だと思います.当時のこの手の教科書は通称てらかんと言っていた寺沢寛一先生の著書やクーランヒルベルトとかスミルノフなんかの古典を物理ガチ勢は勉強していたようですが,私レベルだとその手の本は分量が多すぎてちょっと手が出ませんでした.

まだ微積線形代数も怪しい大学1~2年生にとってはとっつきやすく,用語や内容も物理物理しておらず,動機づけも適切で教科書のお手本のような本だと思います.

この本で扱われていないものとして,複素積分解析力学で必要なルジャンドル変換や変分法微分幾何学などはありますが,解析力学は同じシリーズにありますし,微分幾何学はありませんが,ストークスの定理などその入口については丁寧に記載されています.

私の手元にはこの手の物理数学の類書があるので,今後ここでとりあげるときも本書がベースラインとなって比較する感じになるかなと思います.