今日は卒論関係の本をピックアップします.
計数工学科では幅広い視野を持つという観点から,修士進学予定者は修士の研究室とは違う研究室で卒論を書くことになっていました.
甘利研に進むことになっていた私はミーハーな感じでもう一つの巨頭である伊理研を希望しました.
実際の指導教官には当時伊理研の助教授であった杉原厚吉に担当していただくことになり,「なんかマトロイドとかやってみたいです」とよく知りもせずに言った記憶があります.まあ今の学生さんがよくわからなくてもディープラーニングやりたいです,っていうのと基本的に同じですね.
杉原先生と言えば最近では錯視に関する国際大会で何度も優勝されるなどで有名ですが,当時はボロノイ図とか計算幾何学の研究を注力的にされていました.
マトロイドについて勉強するのに,当時まだ出版されて間もなかったこのグラフ・ネットワーク・マトロイドを読み始めましたが,アルゴリズム数学や離散数学というこれまであまり読んでこなかったタイプの本でかなり苦労しました.
まあ計数の卒論は秋からスタートして半年もない期間で書くということもあり,何か新しいことを生み出すというよりは,ちゃんと一つの分野を勉強して最新研究をレビューするということができればよいということだったので,よくわからないながらも杉原先生の仕事を勉強してなんとか卒論を書きました.
大学のわりと近くに伊理先生の官舎(メインのお住まいだったかどうかわかりません)があり,新年会か何かでみんなでお邪魔したことがあります. 私は先生方には緊張して気後れしてしまうので,主に杉原先生のお子さんと遊んでいたように記憶しています.
本の話に戻ると,この本では後半に劣モジュラとかの話が出てくるのですが,学部時代はそこまで理解できず,その後機械学習に深くかかわってくるとは知る由もありませんでした.