前編 からの続き
撮影も二日目になると,少しは慣れてきました.
でもやっぱりピントはよくわからないし星をカメラ視野内に入れるのも大変.
下に書くように,複数枚合成することを想定して同じ条件の写真を連写しまくってたくさん撮りました.
惑星写真作成の基本は複数枚合成(あるいはビデオ映像からの合成)です.
そうしてできたものが果たして厳密な意味での「写真」と言っていいかどうかは微妙ですが,とにかく天体写真業界はそれが普通らしい.
合成の基本は「質のいい画像を選んで」「位置合わせして」「加算平均」することです.ただし,何十枚もあったり動画だったりすると手でやるのは大変すぎるので何かのソフトに頼ることになります. 商用のものもフリーのもあるのですが,とりあえず今回はフリーソフトウェアでよさげな Registax というものを使用(リンクは使い方紹介のページ).
これらのソフトは前回も紹介した,「赤道儀で追尾して望遠鏡にCMOSカメラで撮った動画(静止画も可)」を処理することが前提とされていたので,私が撮ったような画像中を動きまくっている惑星を位置合わせするところまではさすがに難しいようです.
※注) ソフトの使い方が未熟なだけの可能性もあります
というわけでまずは自分で位置合わせのプログラムを書きました.
以前に金環日食の画像処理で太陽を取り出したことがありますが,太陽とは比べ物にならないくらい小さくて解像度も悪いので,あまり凝ったことはせず,画像の重心を計算して(変なごみに引きずられないような工夫とかいろいろして)惑星領域を抽出しました.前回と同じく使い慣れた matlab を使用(最近あんまり使ってなかったけど).
なんとなく位置合わせをした画像(↓↓↓↓↓↓↓↓こんなやつ↓↓↓↓↓↓↓↓)をたくさん作成.
いやー拡大すると本当にぐだぐだですね.
でもこういうのを何十枚も集めて Registax で読み込みます.
私がなんちゃって抽出した惑星は結構画像内でもふらふらしてますが,Registax もそれくらいは対応して位置合わせしてくれます.スクリーンショットはこんな感じで,これは読み込んだ後位置合わせするためのアラインメントポイントボタンを押すと勝手に点を選んでくれてるところです.
最初は自分でがんばって matlab で位置合わせとかも書こうと思ったんだけど,このソフトの多機能ぶり(いろんな調整パラメータがある)を見たらもう自分でやる気はなくしました.
今回はすべて Registax の自動処理に任せたのでボタンを4回くらい押すともう処理は終了.これで得られた画像が下の画像です.滑らかにはなったけどなんとなくボケボケではあります.まあ現状のスキルではこれくらいが限界でしょうか.
ここから先は写真修正ソフト (私は lightroom classic を使いましたが photoshop とかでも可) で少しエッジ強調みたいなのをしてやると下のようなくらいには見られる土星が得られます.
同様に初回ピンボケだった木星も二回目はもう少しピントに注意して撮影して(といっても実際よくわからないけど)処理したら少し縞模様が見えてうれしくなりました.
次は大赤斑見られる時間帯に撮影に挑戦したいです.
Registax には Wavelet 変換してエッジ強調する機能とかもあるし,いろいろできそうなので少しずつスキルを高めていきたいです.
明け方写真を撮るのも結構しんどい作業なので今回はとりあえずこの辺で満足してまた何かイベントがあってやる気と条件がそろえば撮影しようと思います.
しばらくはまた無気力引きこもりモードに戻ります.