toddler’s diary

以前は研究にあまり関係ない雑談・2023年4月から本を通じた自分の振り返りやってます

斎藤 三郎「再生核の理論入門」牧野書店 2002

カーネル本を書くときに参考にしたたくさんの本のうち最も重要だったのが斎藤先生のこの本です。

 

この本を通じて私の中途半端な再生核ヒルベルト空間の基礎知識がかなり補われました。残念ながら私ごときには面識を得る機会はなかなかありませんが、いつかご挨拶したいものです。

 

さて、再生核ヒルベルト空間というのは、一般的なユークリッド空間とはかなり違うタイプの線形空間です。カーネル法の説明をするときも、再生核ヒルベルト空間を最初に定義づけてしまえば、あとは簡単なんですが、そこで最初につまづいてしまうと後が続かなくなって本末転倒になります。私の筆力ではなかなかそれが難しかったので、私のカーネル本では後回しにしています。ただし、福水さんの本では最初にもってきていて話がすっきり進みます。

 

先日産総研内の人から質問されて改めて思ったのですが、再生核ヒルベルト空間を定義づけする方法には複数の道があって、それらを一体化して認識しないとなかなか理解したと思えない気持ち悪さがあります。例えば、特徴量の内積としてのカーネルガウス過程の共分散関数としてのカーネル、そして再生性から特徴づけられるカーネル等々あって、最初は頭がどれでしっぽがどれなのかわからなくなりますが、全部が頭で全部がしっぽになりうるという認識に至る必要があります。