toddler’s diary

以前は研究にあまり関係ない雑談・2023年4月から本を通じた自分の振り返りやってます

白井 良明, 辻井 潤一「岩波講座 情報科学 人工知能」岩波書店 1982

明日から人工知能学会の全国大会ということで今日は人工知能の本。

 

人工知能には高校のころから興味があったので、大学に入ってからこの岩波のシリーズを買って読んでいました。ほかの本もいずれ取り上げると思いますが、白井先生・辻井先生が書いていたというのも感慨深いです。両先生ともそれほどお近づきになれたわけではないですが、辻井先生はAIセンターのセンター長をされていたのでそれなりに接点はありました。

 

この本で扱うのは、探索のようにwell-definedな問題を計算機で効率的に解く話であってパターン認識などは除くということが問題設定のところに明言されています。今日の人工知能界隈を見ると隔世の感があると思いますが 1980 年代には人工知能の王道は探索にありました。最後の章に、人間の知能に迫るというところがありますが、フレーム問題とかが最初に触れられています。フレーム問題は、当時と今ではその重要性が大きく変化した問題だと思います。

 

さて、人工知能の行く末よりも私が関心があるのは、当時このような人工知能の研究をしていて、ニューラルネットをむしろ嫌っていた研究者の方々の多くが今では深層学習をやっているという点です。そこには個人の研究者として大きな葛藤があったはずで、それらをどう乗り越えたのかという点です。人によっては天動説から地動説ぐらいのインパクトがあったのではないでしょうか。それを集めたインタビュー記事とかがあるととても面白いと思うのですがどうでしょうか。それとも無難に軌道修正できたというつまらないインタビューばかりになってしまうでしょうか(この手の過激な企画ではなかなか本音は聞き出せないものです)。